「借り入れ」を「寄付」に訂正 大石知事の政治資金報告書問題 二重計上も認める 長崎

長崎新聞 2024/07/18 [10:30] 公開

記者団の囲み取材に応じる大石知事=県庁

記者団の囲み取材に応じる大石知事=県庁

大きい写真を見る
長崎県の大石賢吾知事の政治資金収支報告書問題で大石氏は17日、後援会の2022年の同報告書で自民県議の後援会からの「借り入れ」と記載している286万円について「寄付」に訂正する考えを示した。同報告書で大石氏が自身の後援会に2千万円貸し付けたとする別の記載に関しては、同年の知事選の選挙運動費用収支報告書との二重計上だったと認め、後援会側の記載を削除するとした。「収支報告書に目が行き届かないところがあったと反省している」と陳謝したが、訂正の理由は詳しく説明しなかった。
 自民県議の後援会からの借り入れについては先月の定例県議会一般質問で「政治倫理上問題がある」と指摘され訂正すると答弁したが、その後訂正を保留。今月10日の最終本会議でも確認に時間を要するとしていた。17日開かれた県議会各派代表者会議(非公開)で訂正の意向を議会側に説明した。
 この借り入れについては、医療法人などからの寄付を政党支部で受け取った後、自民県議の後援会を経由して大石氏の後援会に渡した「迂回(うかい)献金」ではないかとの指摘がある。同会議に出席後、報道機関の取材に応じた大石氏はこれについて今後、刑事告発を受ける可能性があるとして「捜査に支障を来す」と述べ、「コメントを差し控える」と繰り返した。
 大石氏はこの訂正について「弁護士を通じて(自民県議側に)伝えた」としている。これに対し、県議は長崎新聞の取材に「(知事の説明は)私の認識と異なる部分もある。内容を整理したい」と語った。
 大石氏が2千万円を自身の後援会に貸し付けたとする記載に関しては後援会に入金された記録がない一方、選挙運動費用収支報告書に同額の入金記録があり、二重計上した虚偽記載の疑いが浮上していた。貸付金の一部の返済として後援会から大石氏に約655万円が振り込まれており、大石氏は「誤った支払い」として全額返還すると説明した。
 この貸付金を巡り、後援会の元監査人の男性は今月「架空の貸し付けで655万円をだまし取った」として大石氏らを刑事告発したと発表している。大石氏は詳細な説明はせず、「法に抵触していない」と述べるにとどまった。
 県議会各会派のうち、自民を除く5会派は説明不足だとして、大石氏が出席する県議会全員協議会(全協)の開催を求めている。19日に各派代表者会議を再度開き、改めて協議する。