正月直前に悲鳴…ナマコが記録的不漁 長崎・大村湾 直売所は欠品、漁業者ら「死活問題」

2024/12/28 [12:00] 公開

いけすにナマコの姿がなく、欠品を伝えるボード=時津町浦郷、大村湾漁協直売所

いけすにナマコの姿がなく、欠品を伝えるボード=時津町浦郷、大村湾漁協直売所

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正月料理に欠かせない冬の味覚ナマコが、漁の盛んな大村湾で記録的な不漁に陥っている。大村湾漁協(本所・西彼時津町)では例年12月下旬に漁の最盛期を迎えるが、今年はほとんど水揚げがない。漁業者らは「死活問題だ」と悲鳴を上げている。

 「お客様には大変なご迷惑をお掛け致します」-。年の瀬が押し迫った25日。大村湾漁協の直売所(時津町浦郷)はナマコの欠品を告知していた。店頭のいけすにナマコの姿は見られない。

 大村湾漁協は12月1日から3カ月間、ナマコ漁を実施する。豊漁だった昨年は12月の1カ月間で水揚げが約3トンに達した。ところが今季、漁の初日に揚がったのは、多い人でも5、6匹だった。出漁を控える人も出ている。

 ナマコ漁歴約25年の藤村信雄さん(77)=長崎市琴海尾戸町=は「今年は最悪。昨年の5分の1あるかどうか」と肩を落とした。今年はまだ一度も出荷できておらず「消費者のナマコ離れが心配」と不安げに話す。

 県総合水産試験場栽培漁業科によると、大村湾内の臼島東側漁場(大村市)では今夏、33・6度の最高水温を記録。昨夏より1・9度高かった。「今夏の高水温と(水中の溶存酸素が低下する)貧酸素がナマコの不漁に影響した可能性もある」とみている。

 大村湾漁協事業部長の山田大介さん(38)は「ナマコ漁で1年の収入を賄っている漁師もおり、死活問題だ」と語る。正月用に買い求める人のために、30、31日は管内で取れたナマコをかき集め、直売所で販売するという。