ドクターヘリきょう再開 長崎・壱岐沖の事故を受け休止…26日ぶり 県「安全運航を徹底」

長崎新聞 2025/05/02 [11:09] 公開

長崎県のドクターヘリ。2日に運航を再開する(県医療政策課提供)

長崎県のドクターヘリ。2日に運航を再開する(県医療政策課提供)

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長崎県は1日、壱岐沖で起きた医療搬送用ヘリコプターの事故を受けて休止していた県のドクターヘリの運航を、2日に再開すると発表した。26日ぶりの運航再開となる。事故を起こした機体と同型のため、安全確認に時間を割いていた。
 再開理由について、県医療政策課は「安全面を医療機関に詳しく説明し、理解を得た」としている。本県は海上の飛行時間が長いため、医師や看護師が常時着用する救命胴衣を新たに配備し安全対策を強化。2度の試運転を経て決断した。大村市の国立病院機構長崎医療センターを拠点に、県本土や離島の急患搬送などに活用する。
 再開を巡っては二転三転した。県は事故翌日の4月7日に急きょ運航を見合わせ、当初は同11日の再開を目指して点検作業に入ったが「万全を期すため」、さらに「医療スタッフの不安を完全に取り除けていない」と2度にわたり再開時期の延期を発表。安全確認を慎重に進めてきた。
 休止中は県防災ヘリ、自衛隊、佐賀県のドクターヘリに応援を要請した。同課によると、事故後から4月30日までに11件の出動要請があり、このうち離島の五島市に海自ヘリが1件、県防災ヘリが対馬市と新上五島町に1件ずつ出動した。県本土から要請があった8件は佐賀県のドクターヘリに依頼した。
 県は「この間、県民に大変な不安、心配をかけたことを心からお詫び申し上げる。引き続き、関係機関と連携を図りながらドクターヘリの安全運航を徹底し、県民の皆様の安全・安心の確保に努める」としている。
 事故は4月6日、壱岐沖で発生。福岡市の福岡和白病院が佐賀市の航空会社に運航を委託していたヘリが対馬空港から離陸後、何らかの事態に見舞われて海面に着水し、転覆。搭乗者6人のうち高齢の患者、付き添いの家族、医師の3人が亡くなった。