長崎県佐世保市の国指定重要文化財「旧佐世保無線電信所(通称・針尾無線塔)」は11月で建設100年を迎え、佐世保市平瀬町の市民文化ホールで記念シンポジウムがあった。講演した文化庁主任調査官の北河大次郎氏は「(当時の)最先端技術を学びながら造ったのでは」と価値を語った。
北河氏は無線塔建設の背景を、第1次世界大戦の影響による鉄材の高騰などで、コンクリートを使った経緯を解説した。その上で「(無線塔が)現存するのは非常に貴重」と話した。
このほか、識者ら6人が登壇したパネルディスカッションでは、熊本大の山尾敏孝名誉教授(70)が頂上に取り付けられていた正三角形の銅材「かんざし」の復元を提案。「昔のイメージをよみがえらせる」と必要性を強調した。また、塔にひび割れなどの劣化が見られないため「あと100年は大丈夫なのでは」などの意見もあった。
シンポジウムには市民ら約250人が参加した。12月中旬にかけて、無線塔のライトアップなどの記念行事が予定されている。
針尾無線塔は「最先端技術」 建設100年記念シンポ 佐世保
長崎新聞 2022/11/14 [09:33] 公開