介護予防、買い物支援に送迎バス活用 川棚町東部「みんなでかわろーで」

2022/07/09 [12:00] 公開

いきがいセンター近くのスーパーへ買い物に向かうお年寄り=川棚町下組郷

 長崎県東彼川棚町は、町東部に居住する65歳以上の高齢者の介護予防と買い物支援を組み合わせた事業「みんなでかわろーで」をスタートさせた。中心部の福祉施設に通う送迎バスを「移動手段」として活用し、高齢者が施設で運動し、近隣で買い物もできる仕組み。新型コロナウイルス禍で利用者が減少した施設の活性化にもつなげる“一石三鳥”の取り組みになりそうだ。
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 町は昨年度、町と地元スポーツクラブが協力し、西部2地区で同様の事業に着手。今回、東部地区では町と、福祉施設「いきがいセンター」(下組郷)を運営する町社会福祉協議会が連携。毎週金曜、東部地区を巡回する同センターの送迎バスを利用し、同センターで「みんなでかわろーで」を開くことにした。参加費は月4回で2千円。
 福祉施設と送迎バスを活用した背景には、東部地区の高い高齢化率や担い手不足がある。東部8自治会の人口は町全体の10.63%の1436人。過疎化が進み、地域コミュニティーを支える担い手が他地区より少ない一方で、高齢化率は町全体を9ポイント上回る43%に達している。
 路線バスが通っていない集落があり、交通弱者も少なくない。町の調査によると「タクシー利用は高額」「車が運転できないと暮らしていけない」などの声が上がっている。

広間に集まり、足腰を鍛える体操をする参加者=川棚町下組郷、いきがいセンター

 同センターの1日当たりの利用者(2021年)は54人で、コロナ禍前より減少傾向が続く。町社協は「高齢者の介護予防とともに、施設の有効活用にもなる」とし、施設の活性化にも期待を寄せる。
 初回の6月3日。高齢者10人が、社協職員の指導で体を動かし、介護予防サポーターの住民11人と交流。近くのスーパーで買い物も満喫した。
 岩口悦子さん(91)は「楽しかったの一言に尽きる。たくさん笑って寿命が延びた。人生やめられんごとなった」とユーモアたっぷりに感想。民生委員でサポーターの山口三千子さん(73)は「支える側も楽しく、自分の体力維持にもなる。自分たちが高齢になった時のためにも、後に続いていけば」と話した。
 町地域包括支援係の前田絵美係長は「高齢者だけでなく、サポーターも楽しめる場にしたい」と話している。