剣士親子の“熱い夏” 父は剣道、娘はフェンシング 目指すは「一緒に日本一」

長崎新聞 2024/07/21 [11:04] 公開

親子でインターハイに臨む島原剣道部の福田俊太郎監督(左)と諫早商フェンシング部の優海主将

親子でインターハイに臨む島原剣道部の福田俊太郎監督(左)と諫早商フェンシング部の優海主将

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父は剣道、娘はフェンシング-。今夏、福田俊太郎(46)、優海(17)の親子は、異なる競技でインターハイの大舞台に立つ。竹刀と剣という違いはあるが、2人の“剣士”の思い、目指している場所は同じ。「一緒に日本一になる」。父と娘の熱い夏が始まる。
 島原高剣道部監督の父は、これまでインターハイ団体優勝をはじめ、数々の実績を残してきた。今夏も女子は優勝候補の一角、男子も上位を狙える力を備えている。「日本一を目指して入学してきた生徒のために」。ぶれずに指導を続けてきた。
 そんな父と剣道経験者の母、さおり(47)の長女として生まれた優海。自然に4歳から竹刀を手にしたが、小学3年のころに一度、競技から離れた。「剣道をするのが当たり前の環境だったけれど、気持ちが続かなかった」
 それから約2年後、父が指導する島原高女子剣道部の試合を見て、あらためて「かっこいい」と心が震えた。強さ、気迫、凜(りん)とした姿-。憧れた。「また剣道をしたい」。思い切って両親に宣言して、また、懸命に稽古に励んだ。父はやっぱり、うれしかった。
 中学は母が監督をしていた西諫早中で剣道を続けた。卒業後は島原高に進もうと思っていた。でも、少しずつ不安が募ってきた。「全国レベルの強豪校で本当にやっていけるのか…」。悩んでいる娘に、父が言った。「自分の人生だから、しっかり考えなさい」。程なく、娘は自ら竹刀を置いた。
 進学した諫早商高で手にしたのは「剣」、フェンシングだった。高校から競技を始める人が多いし、間合いの取り方など剣道の経験を生かすこともできる。入部した理由はいくつかあったが、何よりもやればやるだけ、その魅力にはまっていった。一つ上の先輩たちが地元開催の全国選抜大会で優勝したことも刺激になった。より練習に力が入った。
 今年3月、前年に続いて長崎県島原市で開催された全国選抜大会。父は初めて娘の試合を見た。主将として仲間たちを引っ張り、ピストに立てば果敢に前に出ていた。「いろんな人に支えられて、成長させてもらっているな」。たくましさを感じた。娘も「お父さんが応援に来てくれてうれしかった。力になった」。サーブル団体で全国3位という結果を残した。
 今夏のフェンシングは佐賀県開催で24日に競技スタート。剣道は8月4日に大分県で始まる。先陣を切る娘はこう思っている。
 「いい結果を持ってくるから、お父さんも頑張ってね」