五島「てとば美術館」が29日開館! アートで紡ぐ「島の記憶」…東京の現代美術家の版画展で始動

長崎新聞 2025/04/16 [11:50] 公開

まちの風景に溶け込むようにたたずむ「てとば美術館」=五島市富江町

まちの風景に溶け込むようにたたずむ「てとば美術館」=五島市富江町

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長崎県五島市富江町でカフェやブライダル事業を手がける「te to ba」(村野麻梨絵代表)が、「島の記憶をアートで記録する」をコンセプトに準備を進めてきた「てとば美術館」が、29日に同町にオープンする。五島列島の歴史や風土をテーマにした作品を通じて、島に根差したアートの可能性を発信する。開館記念展として、東京在住の現代美術家、中村菜都子さん(51)の個展「島の記憶」を予定している(5月31日まで)。
 同美術館は、かつて書道教室として地域に親しまれていた建物を再生。島内に滞在して制作したアーティストの作品を順次展示し、アートを通じて五島の記憶と時間を未来へ引き継ぐ場を目指す。
 開館記念の個展を開く中村さんは、祖母が生まれ育った平戸や五島列島を訪れたことをきっかけに、潜伏キリシタンの物語や聖書の世界観にインスピレーションを受け、独自の版画表現を深化。リノ版画や木版画に金属板、貝殻、卵殻、金箔(きんぱく)など多様な素材を重ねることで、物語性と質感を兼ね備えた作品を生み出している。
 展示では、長崎、パリ、東京を巡る中で制作した作品群に加え、2018年に福江島滞在時に手がけた富江町の念仏踊り「オネオンデ」をモチーフにした作品など約20点を展示。「te to ba」とのコラボによる限定Tシャツやトートバッグも販売する。
 村野代表は「忘れられていく風景や人々の営みをアートの力ですくいあげたい」と語る。入館料は一般千円、島民・高校生以下500円、小学生未満は無料。開館時間は午前10時~午後5時。不定休。詳細はインスタグラム(@tetoba_museum)で。