長崎港と福江港を結び、食料品や農業用飼料、新聞などを輸送している五島汽船協業組合(村田久之理事長)の貨物船「第38協徳丸」(199トン)が、老朽化のため8月で廃船する見通しとなっている。廃船になれば、島民生活への影響が懸念される。
今年8月末の船の検査期限に合わせ、廃船する方針を決めたが、村田理事長は「島民や取引先に迷惑をかけないよう、協徳丸に代わる便の維持を模索したい」としている。
同組合によると、協徳丸は、食料品や日用品、農業用肥料や飼料、建設資材、新聞などを日祝日の翌日を除いて輸送。長崎港を午前0時すぎに出て福江港に同5時半ごろ到着し、島民の暮らしを支えている。
同組合は廃船した場合、別のスケジュールで運航している貨物船「フェリーさくらⅡ」(883トン)にまとめて積み込む方針。ただ、県内離島で最も人口が多い五島市と県都長崎市を結ぶ定期貨物船が1隻体制となるため、貨物を一度に積み込めず、後便への繰り越しが想定される。新聞の読者配達も大幅に遅れるという。
協徳丸は就航から約30年がたち、エンジン部分が故障するなど老朽化。同組合は同型船を造る場合の建造費を約6億円と試算している。今後、島民の減少に伴い積み荷も減ることが見込まれるとして、自前での建造は難しいと判断している。
貨物船協徳丸、8月廃船へ 「便の維持を模索したい」 五島汽船協業組合
長崎新聞 2022/04/12 [11:30] 公開