西九州新幹線の活用策 長崎大生が提案 経済同友会に研究報告

2022/01/20 [12:30] 公開

学生が西九州新幹線の活用策を探った研究報告会=長崎市、長崎大片淵キャンパス

 今秋の西九州新幹線開業に伴う課題について、長崎大経済学部の学生が研究した内容の報告会が17日、長崎市片淵4丁目の同大片淵キャンパスであった。同学部と包括連携協定を結ぶ長崎経済同友会の会員に学生が発表する初の試み。沿線外地域への周遊観光や定住人口増加策などを提案し、意見を交わした。
 深浦厚之学部長が指導するゼミの3年生11人が4班に分かれ、昨春から西九州新幹線をテーマに研究。第2班は新設される嬉野温泉駅に注目。時短効果が高い長崎駅からの誘客のほか、ハウステンボス、波佐見など沿線外の人気スポットに開業効果を波及させるため、嬉野温泉駅をハブとしたバス路線充実を提案した。
 第3班は人口減少問題に着目。上越新幹線の駅がある新潟県湯沢町が新幹線通勤定期券購入補助や起業支援策を打ち出し、転入超過の状態を維持している点を挙げ、ターゲットを絞り、金額や期間を具体的に設定した施策が重要と指摘した。
 このほか▽並行在来線(肥前山口―諫早)利用状況の検証▽新幹線を活用した貨客混載-も発表。全4班のまとめとして「開業はスタートラインにすぎず、沿線地域の魅力を高めて大きな価値を生み出す必要がある」と結んだ。
 経済同友会の鈴木茂之副代表幹事は「広域的に問題提起がされていた」と評価。「全線開業が実現するころ活躍するのは彼らの世代。自分ごととして考えていて期待が持てる」と話した。第2班で発表した西林一輝さん(21)は「新幹線開業を機に観光地としてのポテンシャルを活性化させられると思う」と話した。