週末の稲佐山はにぎわっていた。眼下に広がるのは観光客らを魅了し続ける長崎の夜景。モナコ、上海とともに「世界新三大夜景」に認定されている。坂のまちにちりばめられた輝きの中で、新幹線開通から間もなく2年のJR長崎駅と、完成間近の長崎スタジアムシティがひときわ強い光を放っていた▲そんな県内有数の観光資源を巡り、長崎市のまちづくりの会合で危機感が示された。「空き家が増えて夜景の光が薄くなっている。このままでは次の審査で認定されないのではないか」▲長崎の夜景は、民間団体が2012年と21年に2回連続で「世界-」に認定。12年の認定後、山頂に登るロープウエーの利用者は急増した。「山々が取り囲むすり鉢状の地形が立体的な景色を創(つく)り出している」のが特長だ▲だが高齢化が進む中で、山肌に建つ住居から住みやすい平地に下りる人も少なくない。時代とともに人々の暮らしも移ろうので、夜景の姿が変わっていくのはやむを得ない。とは言え、少しずつ光が失われることには一抹の寂しさを覚える▲長崎市は30年後のまちの姿をデザインする作業に着手した。その時、夜景は人々の目にどう映っているだろうか。新しい活力が生まれ、まちを照らしているだろうか▲「未来」に光を届けられる「今」でありたい。(堂)
夜景
長崎新聞 2024/08/04 [10:34] 公開