男性カップルへの移転費不支給 長崎労働局が審査請求を棄却 「安心して暮らせる権利認めて」

長崎新聞 2025/05/01 [11:45] 公開

長崎県大村市の男性カップルが申請した雇用保険のパートナー分の移転費を厚生労働省が不支給としたことに関し、申請者の松浦慶太さん(39)は30日、不支給を不服として行った審査請求が棄却されたと明らかにした。棄却決定は25日付。松浦さんは今後、長崎地裁に提訴する方針。

 雇用保険法に基づく就労目的の移転費は、親族を伴う場合と単身では金額が異なる。異性間の事実婚は親族と認められるが、厚労省はこれまで、同性カップルは事実婚に含まれないとの見解を示している。

 松浦さんはパートナーの藤山裕太郎さん(40)と昨年3月、兵庫県から大村市に移転。同市の「パートナーシップ宣誓制度」を利用して「夫(未届)」と書かれた住民票を交付された。公共職業安定所(ハローワーク)を通じ移転費を申請したが今年1月、不支給とされた。判断を不服とし、長崎労働局に審査請求していた。

 松浦さんが受け取った長崎労働局の決定書によると、請求棄却の理由について、同性パートナーが親族に含まれないという解釈は以前から「全国で統一されている」と記載。一方、検討過程で不支給は不当との意見が出たことも記していた。

 松浦さんは「異性カップルには当たり前に認められる安心して暮らせる権利を同性カップルにも認めてほしい。問題提起したい」と話した。

 長崎労働局は「個別の事情には回答できない」としている。