大村・東彼「初代王者」に! 2大会ぶり男女総合V 第71回県下郡市対抗駅伝 長崎

長崎新聞 2025/02/17 [11:00] 公開

完全優勝した選手たちに胴上げされる大村・東彼の森山昭総監督(SUMCOTECHXIV)=トラスタ

完全優勝した選手たちに胴上げされる大村・東彼の森山昭総監督(SUMCOTECHXIV)=トラスタ

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第71回県下郡市対抗駅伝大会は16日、諫早市のトランスコスモススタジアム長崎を発着点とする県立総合運動公園内コース(15区間54・55キロ)で行われ、前回3位の大村・東彼が2時間50分20秒で2020年の第69回大会以来、2大会ぶりに男女総合Vを飾った。1~6区の「女子の部」を49分28秒で7連覇。7~15区の「男子の部」も2時間0分52秒で制して完全優勝した。
 3日間で42区間、400キロ超の公道を走っていた前回までの大会から距離を大幅に短縮。周回コースに変更した結果、前回から順位が大きく変動した。前回7位の諫早が2位に躍進。佐世保が2大会ぶりの3位に入り、4位に区間賞四つの五島が続いた。対馬は前回と同じ5位、前回総合Vの西彼・西海は第60回大会以来の6位に後退した。3~6位は3分差以内の接戦だった。7位に島原半島が続いた。
 前回2位の長崎は史上ワーストの8位。壱岐が第55回大会以来の1桁順位となる9位に食い込み、北松・松浦が10位、平戸が11位だった。
 今大会から特別協力となった長崎新聞社が授与する最優秀選手賞(MVP)の男子は五島の的野遼大(三菱重工)、女子は大村・東彼の髙瀬詩織(諫早高)が輝いた。

◎大村・東彼 女子7連覇、男子区間賞ゼロV

 新しい大会の“初代王座”に就いたのは前回3位の大村・東彼だった。盤石の女子で1分50秒のリードをつくり、男子は区間賞ゼロで制した。今年からチームを引き継いだ森山昭総監督(SUMCOTECHXIV)は「みんなが力通りに走ってくれた。それに尽きる」と会心の表情。駅伝の醍醐味(だいごみ)を凝縮した好レースになった。
 4~6区の3連続区間賞で、7大会連続の女子優勝を決めたのは想定通り。目を見張るのは、決して前評判が高くなかった7~15区の男子だ。
 他チームに直前のメンバー変更やブレーキ区間が出る中、大村・東彼は9人全員が区間2~4位で走破。9区山本(鎮西学院高)が先頭に立ち、以降は手堅く逃げた。2位諫早と46秒差でたすきを受けた最終15区の久間(長崎国際大)も「1キロ3分で刻めば大丈夫」と欲を見せない。「大砲」がいなくても1番でゴールテープを切った。
 第70回大会までに19度の総合優勝と51度の悔しさを味わい、いつしか優勝30度の長崎、12度の西彼・西海と並んで「3強」と呼ばれる存在になった。長崎のように年間を通じた練習会はないが、いざ本番が近づくと「絶対に負けられない」という緊張感がチームを包み、自然と団結する頼もしさが大村・東彼にはある。
 3区有吉(諫早高)は中継所で待っている際、5区に控える畠山(大村小)からふいに手を握られた。「すごくかわいくて。それだけじゃなくて年齢を超えて気持ちが一つになれた気がした」。有吉は一つ順位を上げ、畠山は区間賞を獲得。大会が様変わりする中でも受け継がれる伝統と絆が、節目の20度目Vを完全優勝という形でもたらした。