長崎県高校野球大会・準々決勝 大崎 サヨナラで投手戦制す

2020/07/29 [12:00] 公開

【準々決勝、長崎商―大崎】2安打完封した大崎のエース田中=県営ビッグNスタジアム

 県高校野球大会第11日は28日、長崎市の県営ビッグNスタジアムと諫早市第1野球場で準々決勝4試合が行われ、大崎、長崎南山、鹿町工、波佐見が準決勝に進んだ。夏の4強は大崎が53年ぶり、長崎南山が14年ぶり、波佐見が3年ぶり、鹿町工は初めて。
 大崎はエース右腕田中が2安打完封。長崎商の左腕一ノ瀬を九回に攻略して、1-0でサヨナラ勝ちした。

 甲子園はなくなった。それでも、そこを目指して身に付けた力を存分にぶつけ合った。大崎の右腕田中、長崎商の左腕一ノ瀬が、それぞれ小学時代からバッテリーを組む捕手の内海、相川とともに息詰まる投手戦を展開。最後は自らバットでサヨナラの口火を切った田中の大崎に軍配が上がった。「楽しかった」。ヒーローの短い言葉に実感がこもった。
 圧巻の投球だった。相手打線が警戒する縦のスライダーの「調子が良くなかった」と鋭い横のカットボールを活用。130キロ中盤の伸びのある直球、要所で決めるスライダーとともに低めに集めて凡打の山を築いた。
 四死球を一つずつ与えたが、それ以外で3ボールにしたのは一度だけ。「カウントよく投げられた」と淡々と、優位に組み立て、9回のうち6回を三者凡退に仕留めた。
 打線は八回まで決め手を欠いたが、初回だけで一ノ瀬に10度以上けん制を入れさせるなど重圧と時間をかけた。攻守で流れを渡さずゼロ行進を続けると、九回無死から田中が三塁打を放ち、その好投を支えてきた内海が初球を右翼線へ運んだ。
 これで田中は25イニング連続無失点。1点を失った初戦を含めた防御率は0.29を誇る。大一番も制して上昇気流に乗ったように見えるが「目標は優勝。満足しない」ときっぱり。内海も「次の試合へしっかり準備する」と前を見据える。
 喜ぶのは、58年ぶりに制した昨秋に続く県の頂点、そう“甲子園に行ける力”を示してからと決めている。