水道ない五島・赤島に 災害対応トイレを設置

2020/03/08 [00:04] 公開

赤島の簡易宿泊施設に設置されたトイレ。タンクのふたを開けて器具を調整することで、通常より少ない水量で使用できる=五島市赤島

 水道がない長崎県五島市の赤島に、福井工業大(福井県)と住宅設備大手LIXIL(リクシル)が共同で、使用水量が少ない災害対応トイレを設置した。限られた雨水を生活用水に使う赤島は、日ごろから災害時の“断水状態”に近い環境。トイレを島民らに無償で使ってもらいながら、4月から1年間、使用感や清掃のしやすさなどを調査する。

 赤島は福江島の南東にある二次離島で、十数人が暮らす。同大で雨水の活用などを研究している笠井利浩教授は昨夏までに、集めた雨水を浄化し給水する施設を赤島に整備。実用化に向けた研究を続けている。
 笠井教授は研究と併せ、赤島で水の大切さを学ぶ環境学習プログラムを企画。島外から人を呼び込む目的だが、汚水槽に直接つながった従来のくみ取り式トイレには抵抗感のある人も少なくなく、快適性向上のため同社に協力を依頼した。
 今回設置した水洗トイレは、断水時にも使えるよう同社が開発した商品。排水方式や便器の構造に工夫があり、汚物を流す水量は通常の5リットルから緊急時の1リットルまで調整できる。設置費用は同大と同社が負担。赤島の住民センターと簡易宿泊施設に1台ずつ取り付け、調査後は無償譲渡する。
 使用水量は当面、1リットルで設定。笠井教授や同大学生らが定期的に島を訪れ、使用感などを島民に聞き取ったり、雨水を使うことの影響を調べたりする。