力強さ、スピード“進化” ラグビー 山口泰輝(長崎北陽台高→帝京大) U17代表 落選乗り越え

2020/03/03 [16:00] 公開

「どんな状況でもトライを取れる選手になりたい」と語る山口=長崎県西彼長与町、長崎北陽台高

 昨年末の全国大会(花園)2回戦。相手は最終的に日本一になる桐蔭学園(神奈川)。後半30分を0-38で迎えても、長崎北陽台は引かなかった。FWが身をていして前に出て、バックスが懸命につなぐ。FB山口泰輝は仲間の思いとともに、力強くインゴールに飛び込んだ。エースは意地のトライを「信頼でつながったチームだから取れた」と振り返る。
 中学3年で日本協会のセブンズ(7人制)ユースアカデミーに招集された。高校1年でアジアの国際大会も経験。早い段階から注目されてきた逸材だったが、2年の秋、15人制のU17日本代表入りを逃した。
 正直、がくぜんとした。同時に「そんな甘いもんじゃない」と悟り、自らと向き合ってみた。武器は力強さとスピード。それが「求められるレベルに達していないんだ」と理解した。代表で活動するはずだった時間を、体づくりと走力を上げるための練習に当てた。
 地道な努力は実を結び、今季から高校日本代表で指揮を執る長崎北陽台の品川英貴監督も「かなり変わった」と評するほど“進化”した。その後は2年冬の花園8強、3年夏の全国高校7人制大会3位に貢献。最後は目標だった高校日本代表入りを果たした。
 高校卒業を控え、あらためて「北陽台を選んで良かった」と思う。中学のころ、全国の強豪校から勧誘を受けて進路を迷った。母の「長崎に貢献してほしい」という言葉が決め手となって地元に残りながら、最初は後ろ髪を引かれていた。
 でも、品川監督の指導の下、幼いころから一緒だった仲間たちとの時間は充実していた。気づけば、未練は消えていた。ここだから味わえた小規模でも結束の固いチームの絆。高校最後の花園で決めたトライは、まさにその結晶だった。
 春からは、そんな仲間たちとも大学日本一を争うライバルとなる。まずは選手層の厚い帝京大で、競争を勝ち抜かなければならない。そして、夢はあくまでも世界の舞台。いつかフル代表の桜のジャージーで躍動できるように、また“進化”を続ける。

 【略歴】やまぐち・たいき 長崎市出身。ラグビーは6歳から長崎スクールで始めた。中学2年から県選抜入り。全国ジュニア大会の優秀選手に2年連続で選ばれた。長崎北陽台高では1年から主力を担い、3年で高校日本代表、セブンズ日本A代表の練習生に選出された。ポジションは主にFB。177センチ、89キロ。

桐蔭学園(神奈川)に挑んだ昨年末の全国高校大会2回戦。最後に意地のトライを決めた山口=大阪府東大阪市、花園ラグビー場

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