布製マスクを緊急生産 佐世保の女性用下着企画製造工場 「できること協力したい」

2020/03/03 [11:00] 公開

ミシンを使って布製マスクを縫う社員=佐世保市柚木元町、渡辺商店ローゼンエックワークス

 新型コロナウイルスの感染拡大で全国的にマスク不足が続く中、女性用下着企画製造卸の「渡辺商店」(本社名古屋市、渡邊敬一代表取締役CEO)は、佐世保市内の二つの工場で大手化粧品会社が運営するエステ店向けの布製マスクを緊急生産している。女性用下着の製造で培った立体の裁断や縫製の技術を生かし、3月上旬までに1万2千枚を納品予定。「このようなときだからこそ、できることで協力したい」と急ピッチで応える。
 2月27日午後。渡辺商店ローゼンエックワークス(柚木元町)の広々とした部屋で、女性社員らが白い布にミシンをかけたり、製品の仕上がりを確かめたりしていた。「縫いかけの下着を置いたまま、マスクの仕事をしてもらっています」。工場長の石橋幸忠さん(51)は明かした。
 渡辺商店は、有名アウトドアスポーツメーカーや化粧品会社などのOEM(相手先ブランドによる生産)でスポーツブラや下着などを生産。自社ブランドのランジェリーも手掛ける。
 大手化粧品会社からは、2月20日ごろに依頼を受けた。施術の際に従業員と客が接近する機会が多いエステ店用のマスクの入手が困難になったためだった。
 素材は、抗菌や防臭機能がある柔らかな綿を採用した。ブラジャーのカップを縫う技術を活用。長時間の着用でも負担を感じないように立体型に仕立てた。繰り返し洗って使うことができる。
 短期間で大量に生産するため人員体制も強化した。元社員にも協力を呼び掛け、ローゼンエックワークスと子会社の小佐々渡辺(小佐々町)で計約20人を配置。作業効率を上げるため、1人1工程に専念するようにした。
 27日は“第1陣”となる2千枚を出荷した。ランジェリーに比べ、商品単価は高くない。石橋さんは「数字的には苦しいが、取引先の困っている状況を解消し、お客さんに安心してくつろいでほしい」と話した。

佐世保市内の二つの工場で緊急生産している布製マスク

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