あこう樹 保存活用を 新上五島 樹齢650年超 維持費捻出、土産品開発 住民ら模索

長崎新聞 2019/10/31 [11:00] 公開

国指定天然記念物のあこう樹=新上五島町奈良尾郷

国指定天然記念物のあこう樹=新上五島町奈良尾郷

  • 国指定天然記念物のあこう樹=新上五島町奈良尾郷
  • あこう樹の活用策について話し合う住民ら=新上五島町役場奈良尾支所
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 新上五島町の住民有志らが、同町奈良尾郷にある国指定天然記念物、あこう樹の保存活用計画策定に向け検討を進めている。維持費の捻出や、土産品開発につなげたい考えだ。
 検討委の事務局を担う町教委文化財課によると、あこう樹は高さ約19メートルで幹の周囲は約10.8メートル、樹齢は650年を超えるという。1961年に天然記念物の指定を受けた。
 樹木医の調査で、幹や枝の一部が腐食していることが分かり、昨年8月下旬に検討委を発足。原因は不明だが、定期的に薬剤を塗布しないと生育に悪影響を与えるという。
 検討委は10月上旬、町内で会合を開き、管理費用の捻出方法や、あこう樹にちなんだ土産品の開発について意見交換。出席した約20人の住民からは「おみくじと引き換えに、楽しみながら募金できる仕組みができないか」「寄付金に対して五島にちなんだ返礼品を用意したい」-などの意見が出た。土産品として、あこうの実を使ったジャムを作る、などの意見もあった。
 これらの意見を集約し、町は年度内に保存活用計画を策定する。町教委文化財課の担当者は「人口減少が進む奈良尾地区で管理する人も少なくなる中、町内外の人たちの手助けを借り、保存活用の策を探っていきたい」としている。