トウガラシ栽培で地域振興 農業者と県が連携 新上五島 お年寄りの生きがい創出も

長崎新聞 2019/10/29 [00:05] 公開

乾燥させたトウガラシ=新上五島町、県五島振興局青方庁舎

乾燥させたトウガラシ=新上五島町、県五島振興局青方庁舎

  • 乾燥させたトウガラシ=新上五島町、県五島振興局青方庁舎
  • 収穫を控えたトウガラシ畑=新上五島町青方郷
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 新上五島町の農業者と長崎県が連携し、トウガラシの栽培を通じた地域活性化に取り組んでいる。七味唐辛子の原料として県外の食品会社に納めており、お年寄りの生きがい創出にもつなげたい考えだ。
 県などによると、同町では以前からトウガラシを栽培。細かく刻むなどしてしょうゆに入れ、刺し身を食べるなどしてきたが、大半が自家消費だった。
 転機は2015年。香辛料の生産などを手掛ける甘利香辛食品(京都)が七味唐辛子の国産原料を確保するため、JAごとうを通じ同町の農家に依頼してきた。現在の生産者は26人で、15~18年の平均出荷量は302キログラムだった。同社の担当者は「一軒一軒は小規模だが、継続して生産してもらえるので安定供給が期待できる」と話す。
 トウガラシの品種は辛みが強く爽やかな後味の「ホットスカイ」。4月に苗植えし、8月上旬ごろから収穫。天日で乾燥させて納品する。
 県は農業者に防風ネットの設置費用を補助したり、JAごとうと共同で病害虫対策の指導をするなどしてサポート。県五島振興局農業振興普及課は「病気や獣害に比較的強く、軽くてお年寄りも負担にならない」と特長を挙げる。
 生産者の松坂徹さん(60)は「実で真っ赤になった畑は壮観。生産者としては販路が確保されていることは、ありがたい」と話した。