かつては全国の舞台で「長崎は安全パイ」と言われた時期もあった。そんなソフトボール少年女子が“真の日本一”をつかんだ。記録上は2年ぶり3度目だが、過去2回は他県との同時優勝で、春や夏の全国大会も含めて単独優勝は初めて。西の果てで小さいころから切磋琢磨(せっさたくま)してきた少女たちが、強力なタッグを組み、令和の新時代に大輪の花を咲かせた。
攻守とも日替わりでヒロインが生まれた中、3校選抜チームの象徴として活躍したのが、今季の春と夏の県代表権を分け合った長崎商高の水本、九州文化学園高の川原の“ダブルエース”。水本が「すごく負けたくなかった存在」と言えば、川原は「(水本)すずがいたから頑張れた」。高校最後の大舞台、2人の力が見事に合わさった。
この日の準決勝と決勝も、これまで同様、先発水本、救援川原の継投で2試合連続1-0という完封劇を演出。捕手も岩崎(長崎商高)、前田(九州文化学園高)がそれぞれ好リードを見せ、バックは無失策で支えた。決勝は昨年の初戦で敗れた福井に雪辱。その悔しさを知る水本は「日本一だけが目標だったから」とあふれる涙を止められなかった。
卒業後は水本が県外の大学、川原が県内のクラブチームでそれぞれ競技を続ける。「また、負けないように頑張る」。2人の思いは同じだ。
表彰式。選手たちの日焼けした晴れやかな顔、汚れたユニホームに、輝く金メダルがよく似合った。見守った溝口監督(長崎商高教)は言葉をかみしめた。「この子たちが新たな歴史をつくってくれた。本当にすごい」
茨城国体 ソフトボール 少年女子V 好リレーで“真の日本一”
長崎新聞 2019/10/02 [11:06] 公開