普賢岳火砕流現場で慰霊 警察学校初任科生 災害と任務 心に刻む

2019/09/18 [16:00] 公開

北上木場農業研修所跡で永田係長(前方中央)から噴火災害の説明を受ける初任科生。後方は平成新山=島原市北上木場町

 長崎県警察学校の初任科長期課程(高卒程度)の39人(男34、女5)が17日、1991年6月3日の雲仙・普賢岳の大火砕流で、警察官が犠牲となった島原市北上木場町の北上木場農業研修所跡周辺などを訪問。殉職者を慰霊し、災害時の警察活動を学んだ。
 90年11月から96年6月の終息宣言まで約5年半に及んだ普賢岳噴火災害。災害当時を知らない初任科生への伝承教育のために、同校が実施した。
 初任科生らは研修所跡などで、生い茂った雑草の除草後、近くの雲仙岳災害記念碑前で代表が献花した後、全員で43人の犠牲者に黙とう。門脇隆仁副校長は「警察官として噴火災害を心に留め、近年頻発する自然災害に備えた対処法を学んでほしい」と訓示した。
 島原署警備課の永田寿志係長が、噴火当時の状況や溶岩ドーム「平成新山」の現状などを説明。2人の警察官が当時、避難広報や誘導のため報道陣の取材拠点だった「定点」や、消防団員の詰め所だった同研修所周辺に向かい、大火砕流に巻き込まれた経緯なども話した。
 島原市新湊2丁目出身の初任科生、園田聖人さん(20)は「両親から被災した話を聞いて育った。命を懸けて市民を守った警察官の決意を見習い、意志を受け継ぎたい」と語った。