長崎・大石知事の政治資金問題 あす集中審査「大石氏への寄付」意図焦点 「迂回」の主導者有無は?

長崎新聞 2024/09/29 [11:30] 公開

2022年知事選を巡る「迂回献金」疑惑

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長崎県の大石賢吾知事の政治資金問題で県議会の総務、観光生活建設両委員会は30日、集中審査を開いて真相究明を図る。医療団体の寄付計286万円が自民党支部などを経由して大石氏側に流れた脱法的な「迂回(うかい)献金」疑惑は総務委で審査。「(医療団体に)私の後援会へ資金を移動する意図はなかった」とする大石氏に対し、複数の医療団体が「寄付は大石氏の応援」と証言し、食い違っている点などが追及されそうだ。「迂回」を主導した人物がいるのかも焦点になる。

 この疑惑は6月の県議会一般質問で浮上。2022年知事選で医療団体の寄付計286万円が、選対本部長だった江真奈美県議が代表の自民支部と後援会を経由し、大石氏の後援会へ流入。政治資金収支報告書には「貸借」と記載されており、一般質問で「知事と県議の貸借は政治倫理上問題がある」とされた。

 大石氏は最終的に貸借を「寄付」に訂正し、寄付金は江氏へ返還したとする扱いに変えると7月に表明。しかし理由は詳しく説明せず、県議会は8月5日に全員協議会(全協)を開いて追及することにした。

 企業・団体から後援会への直接寄付は違法となるため、県議会には「医療団体からの迂回寄付と見られないよう、当初は貸借としたのではないか」との見方が当初からあった。

 この全協で大石氏は寄付への訂正について「より実態に即した形にした」と釈明。「知事選当時、資金移動の事実を知らなかった」とした上で、医療関係者に寄付を呼びかけた県医師連盟は「『自民党支部への寄付協力を依頼していた』としている」と述べ、大石氏への寄付の意図はなかったと主張した。

 しかし同日までの長崎新聞の取材に、寄付した複数の医療団体が「寄付は大石氏の応援」と証言。寄付を呼びかけるため、県医師連盟が県医師会名で医療団体に送信したファクスの依頼文書には「大石けんご後援会への寄付金について」と明記されていた。

 一方、この資金の流れを主導した人物の有無も焦点。江氏は一連の送金について「知事の選挙コンサルタントから指示があった」と話しているが、大石氏は「複数の関係者に確認したが、正確な経緯の把握に至っていない」とするにとどまっている。

 総務委では他に、大石氏が自らの後援会に2千万円を「架空貸し付け」した疑惑も審査。参考人招致する後援会の元監査人から意見聴取し、大石氏をただす。議会側が出席を求めた大石氏の選挙コンサルタントは欠席する。