70年以上、長崎市の個人宅でかわいがられる長生きのカメがいる。「10歳の時に家の近くの溝で見つけたんですよ」。同市富士見町に住む中西富美子さん(81)は、夫の勝さん(79)より付き合いの長いカメと、2匹のネコと共に夫婦で暮らしている。
5人きょうだいの富美子さんは1953年、現在の同市向町から今も暮らす場所に家族で引っ越してきた。当時は市立城山小に通う4年生。溝には現在のようなふたはなく、緑がかった3~4センチのカメを見つけた。牛やニワトリなどと暮らしていた経験から、生き物は大好き。家で世話することにした。
金魚鉢で飼い始め、体の成長に合わせて水槽を大きくしながら、今では甲羅の長さ18センチ、幅15センチ、体重0・8キロにまで育った。玄関にある直径50センチのたらいの中で、気ままに動いて客人を出迎える姿は、すっかり“家のあるじ”といった風格を備える。
九十九島動植物園(佐世保市、森きらら)によると、甲羅に3本の筋状の隆起(キール)があることや体の大きさから、オスのクサガメとみられる。飼育から70年を経過したことについては「情報が少なく、前例があるかも不明だが、かなり長生きで珍しいのでは」という。
富美子さんは結婚を機に家を離れたが、約40年前に家族と実家に戻り、再び一つ屋根の下で過ごすように。不在の間も、母・太田チヅさん=98年に100歳で死去=が小まめに手入れを続けたそうで、よく懐いていたという。「母と同じように、今も毎日体を洗ってあげているから、病気もせず健康で長生きなのかも。人間がお風呂に入るのと一緒よね」
意外なのは、決まった呼び名がないこと。これだけ惜しみない愛情を注ぐのに、なぜ-。「みんな好き勝手に呼ぶし、何でもいいんですよ。ね、カメちゃん」。富美子さんがそう呼べば、市内に住む姉、森山チヱ子さん(83)の孫、碧さん(10)は「亀丸」、成さん(10)は「亀太郎」と、てんでばらばら。思い思いに呼びかけては、つるつるの甲羅をなでたり、自分の足の上に乗っけたり。
勝さんも「誰か引き取り手のおらんやろか」と口では言いつつ、スポンジで優しく体を洗ってあげるそうで、家族になくてはならない存在。ひとっ風呂浴びた後は、カタコトと家の中を散歩して、ネコとも仲良くやっている。
「カメは万年、長寿の象徴とはいうけれど、私ももう80代。母は100歳まで健康で長生きしたし、家族も元気。70年も、ずーっとこの家を守ってくれているカメちゃんのおかげかもね」と富美子さん。澄まし顔のカメちゃんも首を伸ばしてうなずいた(ように見えた)。
5人きょうだいの富美子さんは1953年、現在の同市向町から今も暮らす場所に家族で引っ越してきた。当時は市立城山小に通う4年生。溝には現在のようなふたはなく、緑がかった3~4センチのカメを見つけた。牛やニワトリなどと暮らしていた経験から、生き物は大好き。家で世話することにした。
金魚鉢で飼い始め、体の成長に合わせて水槽を大きくしながら、今では甲羅の長さ18センチ、幅15センチ、体重0・8キロにまで育った。玄関にある直径50センチのたらいの中で、気ままに動いて客人を出迎える姿は、すっかり“家のあるじ”といった風格を備える。
九十九島動植物園(佐世保市、森きらら)によると、甲羅に3本の筋状の隆起(キール)があることや体の大きさから、オスのクサガメとみられる。飼育から70年を経過したことについては「情報が少なく、前例があるかも不明だが、かなり長生きで珍しいのでは」という。
富美子さんは結婚を機に家を離れたが、約40年前に家族と実家に戻り、再び一つ屋根の下で過ごすように。不在の間も、母・太田チヅさん=98年に100歳で死去=が小まめに手入れを続けたそうで、よく懐いていたという。「母と同じように、今も毎日体を洗ってあげているから、病気もせず健康で長生きなのかも。人間がお風呂に入るのと一緒よね」
意外なのは、決まった呼び名がないこと。これだけ惜しみない愛情を注ぐのに、なぜ-。「みんな好き勝手に呼ぶし、何でもいいんですよ。ね、カメちゃん」。富美子さんがそう呼べば、市内に住む姉、森山チヱ子さん(83)の孫、碧さん(10)は「亀丸」、成さん(10)は「亀太郎」と、てんでばらばら。思い思いに呼びかけては、つるつるの甲羅をなでたり、自分の足の上に乗っけたり。
勝さんも「誰か引き取り手のおらんやろか」と口では言いつつ、スポンジで優しく体を洗ってあげるそうで、家族になくてはならない存在。ひとっ風呂浴びた後は、カタコトと家の中を散歩して、ネコとも仲良くやっている。
「カメは万年、長寿の象徴とはいうけれど、私ももう80代。母は100歳まで健康で長生きしたし、家族も元気。70年も、ずーっとこの家を守ってくれているカメちゃんのおかげかもね」と富美子さん。澄まし顔のカメちゃんも首を伸ばしてうなずいた(ように見えた)。