長崎県議会自民2会派 勢力拮抗 参院選へ正念場

2019/04/10 [11:58] 公開

県議選長崎市区の開票作業=7日午後9時51分、長崎市民会館

 統一地方選前半戦の県議選が終わった。全16選挙区のうち、選挙戦となった9選挙区では小差で明暗が分かれたケースも相次ぎ、新旧交代も一定、進んだ。無投票も含め、今回の結果を踏まえると2会派に分裂している自民系会派「自民・県民会議」と「自民」の勢力は拮抗(きっこう)。会派が割れてから2年近く。分裂したまま今夏の参院選に臨むのか、それとも融和を図るのか。一筋縄ではいかない県政与党は、正念場を迎えている。
 自民は、2会派とも勢力拡大を狙い新人を擁立した影響で党公認候補者は35人に膨らんだ。うち28人が当選する一方、現職・新人計7人が落選し、現有29議席を割り込んだ。
 当選した党公認候補は「自民・県民会議」側が3人減の13人、「自民」側が1人増の14人と改選前と比べ、公認候補だけで見ると形勢は逆転した。ただ、松浦市区で当選した無所属新人の石本政弘氏は取材に「『自民・県民会議』との関係性が強い」と認め、近く所属会派を判断するという。自民県連の中島廣義幹事長は自らも属する同会派への石本氏加入を見越し「14人ずつになる。これからが大変だ」と語る。
 もっとも、同会派は自民だけでなく、今回当選した小林克敏、中山功、大久保潔重の無所属現職3氏も所属。小林氏は「新しい任期も一緒にやる」と強調。5月に見込まれる議長選は「こちらの会派が優位だ」とみている。
 こうした中、自民県議団の融和を探る動きも浮上。選挙戦最中の5日、一足先に無投票当選を決めた平戸市区の西川克己氏は「自民・県民会議」を離脱し1人会派を結成。取材に「自民党会派を統一するため、覚悟を決めて出た。中立的な立場から両会派に働き掛けたい」と説明。選挙戦中に動いたのは「選挙結果を見て飛び出したとか変に勘繰られるのが嫌だった」と話す。
 両会派の摩擦は選挙戦でも見受けられた。佐世保市・北松浦郡区では「自民」に属する議員が早岐地区の演説会場を押さえたことに対し、先を越された形の「自民・県民会議」会派長、田中愛国氏が激怒した。田中氏は早岐が地盤。「選挙が終わったら穏便に融和が進むよう調整しようと考えていたが、許されない」と不満をぶちまけた。「自民」側からは、松浦市区で加藤寛治県連会長からの必勝祈願の「為書き」が自民現職だけでなく石本氏の事務所にも張られ、「公認候補がいるのに問題だ」と不満が噴き上がった。
 身内のごたごたに、「自民」会派長、瀬川光之氏は「党としてどうあるべきか重要な時期。場合によっては自民の支援組織や県民からさらに信頼をなくすことになりかねない」と渋い表情。「自民・県民会議」に属する徳永達也副議長は現有議席を割り込んだ結果を受け、「身内同士の争いをして有権者にそっぽを向かれた面もあるのでは。まずは反省しないと」と語った。
 一方、今回の県議選では初の統一地方選となった国民民主が現有5議席を守った。国民議員らでつくる会派「改革21」には、初めて議席を得た立憲民主新人や無所属元職、社民も加わり、改選前より2人多い計9人になる見込みだ。
 ある国民県連関係者は自民内の対立を横目に期待を膨らませる。「議長選などでキャスチングボートを握れるかも」。対照的に社民県連の坂本浩幹事長の見方は異なる。「自民2会派の意見が割れ、改革21がどちらにつくかで変わるような状況になるのか」
 新県議の任期は30日から。会派の再構成を巡る水面下の動きは、当選証書付与式がある10日以降本格化しそうだ。