川棚・日向の棚田米 日本酒に 新たな地域の名物づくり  3月からくじゃく荘で販売

長崎新聞 2019/02/07 [11:00] 公開

蒸し上げた米を加え、日本酒を仕込む社員=2018年12月20日、佐世保市城間町、梅ケ枝酒造

蒸し上げた米を加え、日本酒を仕込む社員=2018年12月20日、佐世保市城間町、梅ケ枝酒造

  • 蒸し上げた米を加え、日本酒を仕込む社員=2018年12月20日、佐世保市城間町、梅ケ枝酒造
  • 搾りの工程。槽と呼ばれる装置に、もろみを詰めた布袋を積み上げていった=1月16日、梅ケ枝酒造
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 日本の棚田百選の一つ、東彼川棚町木場郷の日向(ひなた)の棚田で取れた米から日本酒が完成した。川棚町観光協会が企画し、佐世保市城間町の老舗、梅ケ枝酒造(長野哲也社長)が製造。「純米吟醸 虚空蔵(こくうぞう)」として3月に発売する。
 新しい名物をつくろうと協会が梅ケ枝酒造に依頼。ヒノヒカリ約600キロを使って昨年12月から仕込みを始めた。
 12月20日に酒蔵を訪ねると、タンクの中で蒸し上げた白米と水、こうじを混ぜる作業が進んでいた。炊きたての米のにおいが充満し、タンクには無数の米粒が見えた。常務の長野剛士さん(43)は「地元の農家が丹精込めて育てた米なので丁寧に仕上げたい」と気を引き締めていた。
 年が明けた1月16日に再び訪れた。タンクで1カ月近く発酵し、約900リットルのもろみになっていた。周囲にはフルーツのように甘い香りが漂う。長野さんがタンクの下のレバーをひねると、もろみがホースを伝って隣の部屋まで流れ出した。
 ホースの先には「槽(ふね)」と呼ばれる木製で長方形の装置がある。昭和初期から同社で搾りに使われているという。社員3人が、もろみを詰めた布袋を手際良く槽の中に積み上げていくと、重みで搾られた酒が、蛇口から出てきた。
 3日間かけて搾り出し、6日までに、ろ過や瓶詰めを終えた。760ミリリットルで約1200本。長野さんは「香りのいい酒になった。少し甘めにしたので飲みやすいと思う」と話す。米を提供した木場郷の山崎隆行さん(70)も「日本酒を通じて木場のお米に親しんでもらえればうれしい。自分も酒好きなので楽しみ」と喜んでいる。
 日本酒「虚空蔵」は、3月10日から同町小串郷のくじゃく荘で発売予定。1本1500円。ふるさと納税の返礼品に加えられるよう町と調整している。問い合わせは同協会(電0956.82.2661)。