科学「ブレークスルー賞」国際チーム参加 長崎総科大・大山教授ら受賞会見「宇宙の謎解明を」

長崎新聞 2025/05/01 [10:30] 公開

受賞の喜びや実験の意義を語る大山教授(右)と下島教授。左奥にあるのは「アトラス」の模型=長崎市網場町、長崎総合科学大

受賞の喜びや実験の意義を語る大山教授(右)と下島教授。左奥にあるのは「アトラス」の模型=長崎市網場町、長崎総合科学大

大きい写真を見る
米グーグルの創業者らが創設し、優れた科学研究に贈る「ブレークスルー賞」に、欧州合同原子核研究所(CERN)の巨大加速器LHCで素粒子の実験をした国際共同実験チームが基礎物理学部門に選ばれた。実験に参加した長崎総合科学大の大山健教授(原子核物理学)と下島真教授(素粒子物理学)が30日、長崎市内で記者会見し、受賞を励みに「ミクロな世界を探究することで宇宙の謎の解明につなげたい」と意欲を語った。

 大山教授らによると、スイス・フランス国境にあるCERNでは、LHCで陽子と陽子を衝突させ、生まれた素粒子を測定。宇宙誕生時の素粒子の様子を調べるチーム「アリス」のほか、物質に重さを与える「ヒッグス粒子」の特性を調べるチーム「アトラス」など4チームが活動している。

 今回の受賞は2015~18年のLHC第2期運転で取得したデータに基づく実験が対象。4月5日に受賞発表があり、4チームの計約1万3500人が共同受賞した。ヒッグス粒子の精密測定や、ビッグバン直後の宇宙を満たした物質状態の性質探究などを通して「基礎物理学の限界を前例のない領域まで押し広げた」と評価された。

 大山教授は「アリス」の日本チーム代表。下島教授は「アトラス」の実験に参加。長崎総合科学大からは2人を含む教員3人と大学院生(当時)3人が共同受賞した。最先端のセンサー開発や計算機技術などで実験に貢献しているという。

 大山教授は「実験に携わる全ての研究者が日の目を見たのはうれしい。今後も基礎科学分野をけん引し、宇宙と自然の理解に向け挑戦し続けたい」と話した。

 賞金総額300万ドル(約4億5千万円)は次世代を担う若手研究者の教育支援に充てるという。