「原発事故の影響でいまだ住民が戻れない地域がある。放射線を扱う者として少しでも力になれたら」。診療放射線技師で長崎大大学院修士課程2年の古賀仁実さん(24)は、東京電力福島第1原発事故の影響が続く福島県の復興を支えたいと2023年10月から1年余り、同原発が立地する大熊、双葉両町で宅地の空間線量の測定や評価などを続けてきた。この春大学院を修了し、長崎県外の病院で働く予定。「福島で得た経験を大切にしたい」と思いを語る。
古賀さんは佐賀県出身。診療放射線技師を目指し、福岡県内の大学に進み、福島の放射線の問題について学ぶ研究室に所属する中、「復興の支援に携わりたい」との思いを強くした。
23年4月、放射線災害の危機管理などができる専門家を育成する長崎大大学院の災害・被ばく医療科学共同専攻に進んだ。同7月に初めて大熊、双葉両町を訪問。震災当時のままの姿をとどめた無人の商店や民家を目にし「12年たった今でも復興は全然進んでいない」とショックを受けた。
福島県内7市町村に残る原則立ち入り禁止の帰還困難区域で、希望する住民が戻るため除染作業が続く「特定帰還居住区域」。古賀さんは同10月から大熊、双葉両町の同区域で宅地の空間線量などを測定、評価。地域の行事にも参加し、この2年間で10回ほど福島の地に足を運んだ。
長崎大が拠点を置く福島県内4町村の一つ、川内村で10日にあった活動報告会。古賀さんは除染済みの地域では有意に空間線量率の低減がみられたことを説明。復興が道半ばであることを痛感しつつも、住民の温かさに触れ、放射線の影響や現状に関する情報が求められていると伝えた。
「データを収集し、住民の声に耳を傾け、得られた情報を正しく伝え、知ってもらうプロセスを経験した。この姿勢を医療従事者として生かしていきたい」。福島への感謝とともに決意を新たにした。
古賀さんは佐賀県出身。診療放射線技師を目指し、福岡県内の大学に進み、福島の放射線の問題について学ぶ研究室に所属する中、「復興の支援に携わりたい」との思いを強くした。
23年4月、放射線災害の危機管理などができる専門家を育成する長崎大大学院の災害・被ばく医療科学共同専攻に進んだ。同7月に初めて大熊、双葉両町を訪問。震災当時のままの姿をとどめた無人の商店や民家を目にし「12年たった今でも復興は全然進んでいない」とショックを受けた。
福島県内7市町村に残る原則立ち入り禁止の帰還困難区域で、希望する住民が戻るため除染作業が続く「特定帰還居住区域」。古賀さんは同10月から大熊、双葉両町の同区域で宅地の空間線量などを測定、評価。地域の行事にも参加し、この2年間で10回ほど福島の地に足を運んだ。
長崎大が拠点を置く福島県内4町村の一つ、川内村で10日にあった活動報告会。古賀さんは除染済みの地域では有意に空間線量率の低減がみられたことを説明。復興が道半ばであることを痛感しつつも、住民の温かさに触れ、放射線の影響や現状に関する情報が求められていると伝えた。
「データを収集し、住民の声に耳を傾け、得られた情報を正しく伝え、知ってもらうプロセスを経験した。この姿勢を医療従事者として生かしていきたい」。福島への感謝とともに決意を新たにした。