損害保険大手4社が保険代理店を通じて競合他社の顧客情報を不正に取得していた問題で、金融庁は24日、4社に対し保険業法に基づく業務改善命令を出した。取得件数は単純合算で計268万件超に上った。保険契約者らが外部提供に同意していない個人情報が含まれ、個人情報保護や不正競争防止の体制に不備があると判断した。
4社は東京海上日動火災保険、損害保険ジャパン、三井住友海上火災保険、あいおいニッセイ同和損害保険。企業向け保険のカルテル問題で2023年12月に出されたのに続く改善命令で、信頼回復の道は険しい。
不正の舞台となったのは、自動車ディーラーなど複数の損保の商品を取り扱う「乗合代理店」と呼ばれる代理店だ。取得件数の内訳は代理店が漏えいしたものが約234万件、4社から代理店に出向した社員が取得して自社に漏らしたものが約34万件。
金融庁は4社に対し5月30日までに業務改善計画を提出するよう指示した。法令順守や情報管理の体制を確立するとともに、代理店への出向をはじめとする商慣習を見直すことを求めている。