「槽搾り」最後の生産 佐世保・潜龍酒造 「本陣 白星」きょう発売

長崎新聞 2024/11/28 [11:38] 公開

新酒の「本陣 白星」を瓶詰めする社員

新酒の「本陣 白星」を瓶詰めする社員

  • 新酒の「本陣 白星」を瓶詰めする社員
  • もろみを入れた酒袋を酒槽に敷き詰めていく杜氏ら=佐世保市、潜龍酒造
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長崎県佐世保市江迎町の潜龍酒造で27日、新酒(にごり生酒)「本陣 白星」の一番搾りと瓶詰め作業があった。1688(元禄元)年から続く伝統の「槽(ふな)搾り」で造った酒を杜氏(とうじ)の中山直(すなお)さん(55)が味見。「今年も伝統の味を守れた」と語った。28日発売。県指定有形文化財の同酒造の酒蔵(ぐら)「山下家の貯蔵蔵」が来年1月、老朽化に伴い改修されるため、槽搾りによる生産は年末までとなる。
 にごり生酒はもろみを粗ごしした濁ったままの清酒で、微弱な発酵が進んでおり、爽やかな香りと微炭酸が特長。出荷時のアルコール度数14度は時間の経過で少し上がり、甘口から辛口への味の変化も楽しめる。
 槽搾りはもろみから酒と酒かすを分ける「上槽(そう)」という工程の一種。もろみ入りの袋を大型容器「酒槽(さかぶね)」の中に積み重ね、自重や機械の圧力で酒を搾る。27日は2千リットルのもろみを150袋に分けて入れ、搾り始めた。
 改修後は上槽用の自動圧搾機を導入する予定。県酒造組合によると現在、酒槽を使った手作業による上槽を行っているのは同酒造を含め4社だけ。山下庄左衛門社長は「寂しい気もするが、改修により温度管理ができ、お酒が安定して造れる設備を整えていきたい。前向きに挑戦していく」と話した。
 「本陣 白星」は数量限定。900ミリリットル入り(6千本)は希望小売価格1450円、1・8リットル入り(1600本)は同2638円、900ミリリットル3本セットは同4926円。