ピカピカの介護福祉士に、長崎の施設勤務ニマーリさん(スリランカ出身) 技能実習で来日、皆が認める頑張り屋

2024/03/30 [11:00] 公開

「よく気が付くし笑顔が好きよ」と利用者から慕われるニマーリさん=長崎市、ショートステイ王樹

 長崎県長崎市古賀町の介護施設「ショートステイ王樹(えんじゅ)」に勤務するスリランカ人、ニマーリ・ワットサラーさん(30)が国家資格の「介護福祉士」に合格した。同資格は留学生が養成校を経て取得するルートが主流だが、技能実習制度開始から一定の年数が経過し、現場たたき上げでキャリアアップする外国人労働者は増加する見込み。ニマーリさんは本県のトップランナーだ。
 介護職種で県内第1号の技能実習生として2018年10月に来日した。もともと、母国で流れていたNHK連続テレビ小説「おしん」を見て、日本の文化や礼儀正しさに興味を持ち、高校で日本語を学んだ。ただ、日本のような介護施設はほとんどなく、介護がどういうものかも分からないまま海を渡って来た。
 「ご飯を食べさせて、お水をあげてっていう形だけのことで簡単だと思い込んでいた。食事も流動食や刻み食など一人一人に合うように考えて作られているし、入浴や排せつのケアもここまでしてあげるなんて素晴らしい」。日本の介護の細やかさをこう絶賛する。
 3年間の技能実習中は、知識と技術を習得し、節目に受ける試験を着実にクリア。実習段階ごとの日本語能力試験の学習も並行し、今では新聞を読めたり、自然なスピードで会話の流れや要旨を把握できたりする「N2」レベルに達した。「読み方が分からない専門用語があっても、漢字を見ればこういう意味かなって分かる」といい、利用者とは長崎弁で会話できるまでに。施設を運営するLIFE・DESIGN代表取締役の勝矢圭一さん(50)は「真面目で賢い。いつもにこやかで利用者からの評価も高い」と信頼を寄せる。
 一時帰国を経て、最長5年在留できる「特定技能」に移行し昨年1月、再来日した。更新の制限がなく、家族の帯同も可能な在留資格「介護」の取得を目指し、その必須資格となる介護福祉士に挑戦。受験するには3年の実務経験のほかに450時間の実務者研修が必要で、4~9月に修了した。夜勤もこなしながら早朝学習などで時間を工面し、ことし1月の試験に向け必死に勉強を続けた。
 発表は25日。年に一度の試験に一発合格を果たし、涙があふれた。「だから言ったでしょ。大丈夫だって」。頑張る姿を見てきた同僚や母国の母は、当然の結果だと祝福してくれた。勝矢さんも自分のことのように喜び「彼女に続く実習生や日本人の同僚にとって、刺激をくれる存在」とたたえた。
 「利用者から『ありがとう』の言葉や笑顔がもらえて、介護はとてもいい仕事」とニマーリさん。「自動車の免許も取りたい」と、意欲的に次なる目標を語った。
 県によると、県内の在留資格「介護」取得者は117人(昨年6月時点)。