能登半島地震や羽田空港の航空機事故-。年明けからつらい出来事が続き、被災していないのに心身に疲れを感じる人もいるのではないか。県精神神経科診療所協会の森貴俊会長(48)に、報道との付き合い方を聞いた。
被害に遭った人の気持ちに寄り添いすぎて、体験していなくても心や身体が疲れてしまう現象を「共感疲労」と呼びます。過去に似た出来事がある人や感受性が強い人、使命感が強い人、さまざまな経験を経た高齢者に生じやすく、注意が必要です。
2~3日たつと自然と戻っていきますが、生活に支障が出たり、2週間以上続く場合は心療内科や精神科など医療機関を受診してください。
「共感」が身に付くのは4、5歳以降といわれます。小学3年生以上になると、心配性の子は「自分に起きたらどうしよう」と不安になることがあります。そういう時は一時的に親などに甘える傾向が出るので、「うちは大丈夫だよ」という声かけやハグ(抱き締める)などのボディータッチ、添い寝などで安心感を与えてください。自然と日常に戻っていきます。
ニュースと接する際には、同じような内容を繰り返し見過ぎないよう注意してください。気分がめいったり、疲れを感じたら、テレビやラジオ、携帯を消して情報から遠ざかりましょう。
ニュースを見て落ち込んだりつらくなることは変なことではありません。衣食住を大切にして、自分の時間を取って休養すれば多くの場合は時間とともに元に戻ります。
医療機関ではカウンセリングを行い、対処法や日常生活の過ごし方などを伝えます。深刻な場合は薬を処方することもあります。我慢せずに受診を検討してください。