西九州最大級のよさこいイベント「YOSAKOIさせぼ祭り」が22日、閉幕した。今年は25周年に合わせて、20~30歳でチームを結成する特別企画もあった。記者はさせぼ祭りと“同い年”。運動音痴で踊るのは大の苦手だが、「初心者大歓迎」と勧められ、挑戦してみた。
チーム名は「NIGO NIKO(ニーゴーニコ)」。25歳にかけ「にーっと笑って、進んでいこう(Go)」という意味で、踊る曲はサンボマスター「できっこないをやらなくちゃ」。前向きな歌詞が特徴だ。69人が参加し、うち未経験者は記者を含め2人だけだった。
練習は7月下旬に始まった。恐る恐る練習室に入ると、リーダーの宮﨑美咲さん(26)が「参加してくれてありがとう。頑張っていきましょう」とみんなに優しく声をかけた。
出だしからつまずいた。手と足が同時に出て、明らかにぎこちない。体を動かして暑いはずなのに、冷や汗が止まらない。練習後、沈んだ気持ちで外に出ると、「足の動き難しかったですね。一緒に頑張りましょうね!」。宮﨑さんのひと言で、前を向けた気がした。
他のメンバーの動きのキレとのみ込みの早さに驚いた。もう一人未経験で参加した女性は交流サイト(SNS)を見て申し込んだという。初めて同士「最前列は緊張するね」「筋肉痛だね」と励まし合った。
練習を重ね、9月に佐世保駅前であったイベントで初披露。膝が震え、何度も振りを間違えたが、やり抜いた達成感があった。「これが踊るってことか」。楽しさが徐々に分かってきた。
いよいよ祭り本番。前夜祭と最終日に踊った。最終日、運営メンバーの1人が、マイクを手に観客に呼びかけた。「チームに所属している人、初めて踊る人もいる。私たちの演舞を見て何か伝えられたらうれしい」。そしてメンバーに語りかけた。「さあみんな、『できっこない』を越えていこう」
宮﨑さんの「はい、ポーズ」のかけ声で、右手を5、左手を2の数字にして、顔にかざすポーズを取った。スポットライトで照らされるステージ、歓声や手拍子、メンバーのかけ声-。会場と一体になっていた。「♪君ならできるんだ どんなことも」の歌詞が踊りながら身に染みた。うまく踊れず、辞めた方がいいと思ったこともあった。でも最後には、笑顔で体が動いていた。「最高の演舞」を目指した仲間と踊ることができて、幸せだった。
参加してみて、以前持っていた「踊り子は限られた人しかできない」との思いは薄れた。最後の練習で、運営メンバーの1人が「させぼ祭りを50年、70年、100年と根付かせたい。一人一人のエネルギーがこれからの祭りをつくっていく」と言った。この挑戦が一助になれたらうれしい。これから先、また新しい人たちの挑戦が、祭りを後世につないでいってほしい。