長崎県内タクシー 求む女性人材 続く深刻な運転手不足… 環境整備やイメージ払拭に奔走

2023/09/30 [12:00] 公開

「自分に合った働き方ができる」と語る北浦さん=長崎市、ラッキー自動車本社営業所

 長崎県内タクシー業界の運転手不足が深刻だ。新型コロナウイルス禍を経て、この4年間で2割以上も減った。人流が回復しているが、事業者は所有車をフル回転できず、利用者が多い朝や深夜には、配車に影響が出つつある。業界は、まだ少ない女性を取り込もうとPRを強化。職場環境の改善にも乗り出した。
 全国ハイヤー・タクシー連合会などによると、新型コロナ禍前の2018年度に4038人だった県内タクシー運転手は、22年度には3168人まで減少。コロナの5類移行により需要は徐々に回復しているが、運転手の確保が追いつかず、車両の稼働率は6割弱にまで落ち込んでいる。
 県タクシー協会は今年から、ハローワークに小まめに情報提供をしたり、求人チラシを作成したりして人材確保に奔走。中でも期待を寄せるのが女性だ。
 同連合会によると、22年度の本県の女性タクシー運転手は93人で全体のわずか2.9%。全国平均の4.2%にも満たない。長時間労働で子育てとの両立が難しいといった印象も根強く、同協会の松岡隆専務理事は「『女性に向かない職業』というイメージを払拭したい」。自由度の高い働き方や防犯策などをアピールし、参入を促す考えだ。
 県内大手のラッキー自動車は今夏、長崎市大橋町の本社営業所に、仮眠室やシャワー、化粧台などを備えた女性専用の休憩室を初めて設置した。今後も主要な営業所で同様の整備を計画している。川添暢也社長は「柔軟な働き方や快適な職場を提供することで、多様な社員にとっての『働きやすい』を追求したい」と意気込む。

ラッキー自動車が新たに整備した女性専用の休憩室=同社本社営業所

 同社に在籍する運転手270人のうち女性は3人。勤務歴20年近い北浦市子さん(64)は当初「お客さんに敬遠されるのではないか」と不安を持っていたが、実際は女性客を中心に「女性運転手だから安心できる」との声も多く聞き、ニーズを実感している。「自分に合った働き方ができるので、もっと女性が増えるといい」と話す。