長崎拘置支所の収容業務停止、撤回求める 県弁護士会が意見書

2023/05/09 [12:00] 公開

老朽化を理由に長崎刑務所への収容業務が決まった長崎拘置支所=長崎市白鳥町

 長崎拘置支所(長崎市白鳥町)の収容業務を11月末ごろに停止し、長崎刑務所(諫早市小川町)に集約するとした法務省の決定を受け、長崎県弁護士会は8日、決定の撤回を求める意見書を斎藤健法相らに提出したと発表した。刑事裁判の被告が同刑務所に収容されると、弁護人との接見時間確保に支障が生じるとして、同会との十分な協議を求めている。2日付。
 意見書によると、同刑務所は2月6日付で、同支所の老朽化を理由に収容業務の集約を同会に通知。同支所がある長崎市から同刑務所まで自家用車で約30~50分を要し、被告との接見や面会にかかる弁護人や家族らの移動時間や費用負担が現行より増すなどとしている。
 8日、長崎市内で会見した同会の山下肇会長は「法務省には(アクセス面など)東京基準ではなく、地方の実情をみてほしい」と要望。刑事事件を担当する同会の弁護士は減少傾向にあり、機能集約で負担が増えれば「さらに(刑事事件を担う)弁護士が減っていく」との懸念を示した。
 同刑務所によると、同支所は1927年8月、同刑務所浦上支所として発足。50年4月、現在地に移転し、建て直しを経て、71年6月から現在の建物で収容を始めた。8日現在の収容者は18人(収容率21%)。
 同刑務所は、収容業務の集約理由を「効率的な施設運営と職員の負担減のため」とした上で、同会の意見書提出について「理解してもらうため、誠意を持って対応したい」と話した。