つややかで、色とりどりのピアスやバッジ、イヤリング。長崎市沿岸に漂着した海洋ごみを基に作られたブランド「ウミーワ・インテリア」の商品だ。手がけたのはアクセサリー店ではなく漁具店。考案した従業員の兼子修治さん(32)は「アクセサリー作りはあくまで手段。海洋ごみ問題を考える人々の『輪』を作りたい」と話す。
新長崎漁港近くに店を構える兼子漁具(長崎市京泊2丁目)の跡取り。青春時代はソフトボールに熱中した。小学校卒業後、長崎を出て群馬県の強豪校へ。大学まで続け、大手スーパーに就職。転職などを経て気付けば人生の半分以上を古里の外で過ごした。「そろそろ戻ってきてくれないか」。後継者を意識した父から言われ、2023年春にUターンした。
店で働き始めて1年ほどたった今年春。九十九島水族館(海きらら)などを運営する「させぼパール・シー」(佐世保市)に営業に訪れた時のこと。九十九島の海洋ごみ問題を啓発し、改善につなげるためのプロジェクトを知った。
海きららに並べられた海洋ごみには漁具もあった。本県の海岸線の長さは、北海道に続き全国で2番目。離島も多く、海洋ごみの漂着量は突出している。特に漁具や船具は耐久性があるため、500年以上も漂流することがあるとされる。漁具に関わるものとして「何かしなければ」と感じた。
思いついたのが、普段から人間が身に着けるアクセサリー作り。人々の普段の会話に海洋ごみが上れば、問題についてもっと知ってもらえるのではないかと考えた。
アクセサリー作りは、海洋ごみの回収から完成まで全て手作業。同僚とともに店近くの海岸に赴いて回収し、プラスチックや漁具などをハサミで細かく裁断する。それをアイロンでプレスして押し広げ、樹脂で固めるなどすれば、キラキラとしたアクセサリーに仕上がる。「はっきり言って大変な作業だけど、これを機に関わる人も増えた。楽しいから続けられる」
ピアスとイヤリングが2750円。ピンバッジとリングは1800円。兼子漁具と海きららのほか、長崎市南山手町のホテル「セトレグラバーズハウス長崎」で販売している。色鮮やかなアクセサリーだが、美しさは深刻な問題と表裏一体と強調する。「人間がこれだけの種類のごみを海に捨てているということを知ってほしい」
海洋ごみ問題は規模が大きく、一朝一夕には解決できないことは理解する。一方で、人間が起こしたごみ問題は必ず人間に返ってくるとも思う。「(啓発活動は)誰かがやらないといけない。海岸線が長く漁業が盛んな長崎だからこそ、海に向き合う必要がある。海で生計を立てる者として、きれいな海を未来に残したい」。言葉に、揺るがない信念がにじんだ。
新長崎漁港近くに店を構える兼子漁具(長崎市京泊2丁目)の跡取り。青春時代はソフトボールに熱中した。小学校卒業後、長崎を出て群馬県の強豪校へ。大学まで続け、大手スーパーに就職。転職などを経て気付けば人生の半分以上を古里の外で過ごした。「そろそろ戻ってきてくれないか」。後継者を意識した父から言われ、2023年春にUターンした。
店で働き始めて1年ほどたった今年春。九十九島水族館(海きらら)などを運営する「させぼパール・シー」(佐世保市)に営業に訪れた時のこと。九十九島の海洋ごみ問題を啓発し、改善につなげるためのプロジェクトを知った。
海きららに並べられた海洋ごみには漁具もあった。本県の海岸線の長さは、北海道に続き全国で2番目。離島も多く、海洋ごみの漂着量は突出している。特に漁具や船具は耐久性があるため、500年以上も漂流することがあるとされる。漁具に関わるものとして「何かしなければ」と感じた。
思いついたのが、普段から人間が身に着けるアクセサリー作り。人々の普段の会話に海洋ごみが上れば、問題についてもっと知ってもらえるのではないかと考えた。
アクセサリー作りは、海洋ごみの回収から完成まで全て手作業。同僚とともに店近くの海岸に赴いて回収し、プラスチックや漁具などをハサミで細かく裁断する。それをアイロンでプレスして押し広げ、樹脂で固めるなどすれば、キラキラとしたアクセサリーに仕上がる。「はっきり言って大変な作業だけど、これを機に関わる人も増えた。楽しいから続けられる」
ピアスとイヤリングが2750円。ピンバッジとリングは1800円。兼子漁具と海きららのほか、長崎市南山手町のホテル「セトレグラバーズハウス長崎」で販売している。色鮮やかなアクセサリーだが、美しさは深刻な問題と表裏一体と強調する。「人間がこれだけの種類のごみを海に捨てているということを知ってほしい」
海洋ごみ問題は規模が大きく、一朝一夕には解決できないことは理解する。一方で、人間が起こしたごみ問題は必ず人間に返ってくるとも思う。「(啓発活動は)誰かがやらないといけない。海岸線が長く漁業が盛んな長崎だからこそ、海に向き合う必要がある。海で生計を立てる者として、きれいな海を未来に残したい」。言葉に、揺るがない信念がにじんだ。