元寇船の遺物保存で協力 松浦市とトレハロース製造メーカーが包括連携協定 長崎

長崎新聞 2024/10/02 [10:00] 公開

包括連携協定を交わした友田市長(右)と安場社長=松浦市、鷹島公民館

包括連携協定を交わした友田市長(右)と安場社長=松浦市、鷹島公民館

  • 包括連携協定を交わした友田市長(右)と安場社長=松浦市、鷹島公民館
  • 木製大型いかり(一石型いかり)の保存処理状況を確認する友田市長(左)と安場社長=松浦市立埋蔵文化財センター
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長崎県松浦市は9月25日、食品や医薬品などに使われる糖類の一種、トレハロースの生産が国内トップのナガセヴィータ(本社・岡山市)と包括連携協定を結んだ。トレハロースは「鷹島海底遺跡」(松浦市鷹島町)から見つかった鎌倉時代の元寇(げんこう)船の木製遺物を保存処理する際に欠かせない。市は同社製品「トレハ」の提供を受けていく予定。
 水中から引き揚げた木製遺物は自然乾燥させると収縮、変形するため、中身を補強する必要がある。同市では2013年からトレハの溶液を遺物に染み込ませるトレハロース含浸処理に取り組んでおり、多いときで年間約4トン使用。従来の強化処理よりも安全で進めやすく、低コスト化や処理期間の短縮に向けた研究も進めている。
 同町の鷹島公民館で行われた締結式で、友田吉泰市長は「日本で確立されていく技術を海外へ提供していくという意味でも大きなポイント。トレハロース含浸処理法の取り組みに対する周知活動にもご協力いただければ」とあいさつ。同社はウェブマガジンや美術館も運営しており、安場直樹社長は「文化的な面でトレハロースが使われていることにびっくり。持続的な社会実現の一助になるのであれば経営の糧にもなる」と話した。
 調印を終えた後、市立埋蔵文化財センターで22年10月に引き揚げられ、昨年1月から保存処理が進む木製大型いかり(一石型いかり)の見学もあった。