知事選


■知事選記者座談会/民主への逆風流れを決める 知名度不足で盛り上がらず

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12年ぶりに県政の新たなリーダーが誕生した知事選。初当選を決め支持者らにお礼の言葉を述べる中村氏=21日、長崎市元船町の選挙事務所
 21日に投開票された知事選は、前副知事の中村法道氏(59)が初当選を果たした。12年ぶりに誕生する県政の新たなリーダーを目指し、過去最多の新人7人が立候補した選挙戦を記者が座談会で振り返った。(以下、文中敬称略)

 −投票率は60%を超えたが、選挙は盛り上がったか。

 A 事実上の与野党対決でタレントも立候補して話題性はあったが、盛り上がりは感じなかった。

 B 最大の原因は超短期決戦だった上、大仁田を除く候補者の知名度不足が解消されなかったのが原因ではないか。たった数カ月で、離島を抱える本県を回り、地域の課題を熟知し、それに有効な政策を打ち出せるわけがない。候補者の十分な情報がないまま有権者は選択を迫られることになった。

 −争点は何だったか。

 B 金子県政の継続か刷新かに尽きるのでは。

 A ただ、自民党系と民主党系の候補者の主張に大きな違いはなかった。4大事業(新幹線、国営諫早湾干拓の開門調査、石木ダム、県庁舎移転)への主張の違いも有権者には分かりにくかった。目立った争点はなかったのではないか。

 −中村の勝因は。

 C 大仁田の出馬で無党派層の票が分散したのは、橋本には痛かった。自民県連幹部も「大仁田さまさま」とはしゃいでいた。

 A 自民党を推薦した県農政連もよく動いた。民主党本部が大勢の国会議員を送り込んで圧力をかけたようだが、動じなかった。自民党県議団も来年の県議選への影響を考えてか珍しくまとまった。

 C 告示前に来県した自民党の小泉進次郎の応援は話題を呼び、無党派対策として効果的だった。「裏方に徹する」作戦だった自民党が表に出やすくなった。

 D 後継者を指名しなかった金子知事も変装してこっそり中村の街頭演説などを見守っていた。記者に見つかり「別に…」とか言っていたけど、やっぱり心配だったのだろう。

 −橋本の敗因は。

 A 橋本に近い関係者は「選挙運動をする人の真剣さの違い」を挙げた。「政権交代時の余韻に浸っていたのでは」という声もあった。すでに世の中には「また変えろ」という空気が広がっていることに気付かなかったのだろうか。

 B さっきも話が出ていたが、やはり、大仁田に足を引っ張られたのが痛かった。選挙戦最終日の「マイク納め」の会場が大仁田と重なり、大仁田の演説で橋本の声が聞き取りにくくなったのは、今回の知事選を象徴しているように見えた。

 C 民主党は自民党よりも地方議員が少なく、人を集めきれない決起集会もあった。国会議員の締め付けも逆効果になったようだ。

 B 候補者の選考方法も禍根を残したのでは。本来地元で決めるところを決めきれず、国会議員にげたを預けた。東京の「密室」で選ばれたというイメージは良くない。ある労組幹部は「候補者に親近感がないと知人に広げようと思わない」と話していた。

 −民主党の「政治とカネ」の問題は影響したか。

 B この問題が浮上し、「民主党は期待外れだ」という空気が広がったようだ。橋本を応援したある市議は「問題をあちこちで持ち出され、支援をお願いしにくくなった」と嘆いていた。

 C 「政治とカネ」の問題だけでなく、迷走する鳩山政権に失望する声も聞いた。マニフェストを実行できない民主党に批判的な人も増えているみたいで、そういう人の票も他候補に流れたのではないかな。

 −ほかの候補者の敗因は。

 E どの候補者も与野党対決の構図に埋没した感があった。大仁田は「プロレスラーに政治ができるの?」という疑問の声を取り除くのに苦労した。演説では学歴や元参院議員の経験を強調したが、浸透せず、結局知名度頼りになってしまった。

 F 押渕は唯一の女性候補をアピールしたが、集会ではメモを見て話すなど演説に不慣れなことを露呈したのはまずかった。深町は存在感を出せなかった。


2010年2月23日長崎新聞掲載