知事選


■激戦区ルポ/長崎市 乱立で票の行方混沌

最近2回の国政選挙における各候補者の得票
 知事選は民主、社民、国民新の与党3党が推薦する橋本剛候補(40)と自民、公明両党が支援する中村法道候補(59)が激戦を展開し終盤を迎えた。有権者の約3割が集中する長崎市は三菱重工労組長船支部(原田敏春委員長、約6700人)の集票力を背景とした民主党の牙城。しかし同労組の動きの鈍さや候補者乱立も重なり票の行方は混沌(こんとん)としている。

 「あそこの組織(の動き)が鈍いとか言っている時期ではない」。14日午後に長崎市内で開いた橋本候補の総決起集会。原田委員長は周囲から漏れ聞こえる声を否定するかのように檄(げき)を飛ばした。

 同労組は民主党県連代表の高木義明衆院議員の出身母体でもある。しかし三菱の協力企業関係者は「今回は拍子抜けするほど動いていない」と声をひそめる。同労組幹部はこれを自民党サイドの喧伝(けんでん)だと打ち消し、19日の総決起集会などで「動きを見せつける」と言い切る。

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 13日に開いた日本商工連盟長崎地区の拡大選対会議で企業経営者から自民党議員への不満が続出した。「(長崎市選出の)県議、市議の顔が見えない」

 もともと結束力が弱い同市の自民党県議・市議団。こうした意見を受け約15人の県議、市議は15日に会合を開き、各後援会や地元商店街・企業の票固めを徹底するよう確認した。しかしある市議は「浜町商店街の従業員や企業に浸透していない。このままでは負ける」と逆に経済界に注文することを忘れなかった。

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 県都での選挙戦は与野党とも不安要素を抱え終盤に突入した。両候補がしのぎを削る中、知名度が高い大仁田厚候補(52)と、自民党支援団体の一つ、県医師連盟顧問で長崎市区選出県議だった押渕礼子候補(71)の得票が鍵を握る、との見方が広がりつつある。

 浮動票が多い長崎市は大仁田候補にとって「私たちの基盤」(陣営幹部)。三菱重工長崎造船所香焼工場の出入り口に立ち、従業員に頭を下げるなど橋本候補の地盤切り崩しに照準を定める。押渕候補の陣営は、昨夏の衆院選で自民党の冨岡勉氏を支えた選挙スタッフに加え、党長崎支部政調会長の小森明人市議も支援する。

 中村候補を支援する県農政連幹部は、昨夏の衆院選長崎1区でつけられた約4万票差について▽民主党への追い風がやんだ▽大仁田候補の出馬▽小沢一郎幹事長の政治とカネの問題−で「1万票ずつ計3万票縮む」ともくろむ。11日午後、橋本候補の陣営が長崎市内で開いた女性集会。民主党の高比良末男県議は島原半島での苦戦を伝えこう締めくくった。「主戦場の長崎で相手(中村)候補に5万票以上の差をつけなければ勝利はない。だがファイヤー(大仁田候補)が…」。参加した女性は顔を見合わせ笑ったが、その様子を後ろで見ていた陣営幹部に笑顔はなかった。

 共産党推薦の深町孝郎候補(67)も九州新幹線長崎ルート反対などを前面に長崎市で支援を訴える。


2010年2月16日長崎新聞掲載