知事選


■医師・歯科医師連盟が対応に苦慮 「自民か民主か」揺れる“医師票”

 告示が迫った知事選で、県歯科医師会の政治団体「県歯科医師連盟」(音山泰宏会長)と県医師会の政治団体「県医師連盟」(蒔本恭委員長)が対応に苦慮している。いずれもトップは前副知事の中村法道氏(59)支持を明言。しかし内部は意見が割れ自主投票や複数推薦になった。政権交代で変化しつつある中央の政治力学も絡み、支持の行方は混沌(こんとん)としている。

 「県と同じく私たちも自主投票にしたい。自主投票といっても、大久保後援会長としての私の気持ちをお酌み取りいただきたい」

 1月16日夜に長崎市内の料亭で開かれた諫早市歯科医師会の新年会。県歯科医師連盟諫早支部の助村大作支部長がこう述べると、かたわらにいた前農水省改革推進室長の橋本剛氏(40)と歯科医の塚本清後援会長は深々と頭を下げた。

 続いてあいさつした民主党の大久保潔重参院議員はむしろ悔しさをにじませた。「日歯連(日本歯科医師連盟)は変わったのに県レベルが政権交代の意味を分かっていない。私にすれば自主投票は当たり前、橋本さんの推薦をお願いしたいぐらいだ」

 日歯連は昨年9月、今夏の参院選で自民党から出馬を決めていた組織内候補の擁立を取りやめた。約3カ月後に発表された来年度の診療報酬改定で歯科の改定額は医科(1・74%)を上回る2・09%の増加。日歯連がいち早く自民党支持を見直し、民主党に接近した効果ともうわさされる。

 しかし県内では今も自民党との関係が根強い。県議会最大会派の自民党は昨年の12月定例県議会で歯と口腔(こうくう)の健康づくりに関する条例案を議員提案。九州で初めて成立させた。会員にはこれを評価する声もある。

 中村氏を擁立した「新知事をつくる県民の会」に名を連ねる音山会長は1月14日の臨時理事会で中村氏の推薦を提案。助村氏らがこの方針に反対し自主投票に収まっていた。音山会長は「何とか中村氏に推薦状を手渡したかったが、残念でならない。条例づくりなどこれまでの恩義があるし中央と地方は違う」と中村氏支援を鮮明にする。

 県医師連盟の事情はさらに複雑だ。県議で連盟顧問の押渕礼子氏(71)が立候補を予定。15日に押渕、中村、橋本3氏の推薦を決めた。

 蒔本委員長は県民の会発足時からのメンバーだが内部の意見を考慮し「医師連盟委員長」の肩書は途中で消え、田上病院長として中村氏を支援する。昨年8月の衆院選で主な執行部が民主党の福田衣里子氏を支援。県内でも民主党寄りとみられている諫早支部は誰も推薦しなかった。南高医師連盟は地元出身の中村氏を推薦。押渕氏の夫の英展氏が支部長を務める県医師連盟北松浦支部も3人を推薦する方向だ。蒔本委員長は「票の行方は全く分からない」と話す。

2010年2月2日長崎新聞掲載