知事選


■告示まで1カ月 激しさ増す“前哨戦”

 知事選は2月4日の告示まで4日で1カ月となり、選挙に向けた動きが本格化してきた。立候補を表明している新人6人は知名度の向上や後援会の組織づくりに追われるなど、前哨戦も日々激しさを増している。

 暮れも押し迫った12月29日午後6時すぎ。雲仙温泉街(雲仙市)のホテル。主に島原半島内の農家や観光業者、漁業者らでつくる異業種交流会に招かれた前副知事の中村法道氏(59)が「私は島原半島出身だ。今後も半島発展に全力を尽くしたい」とアピールすると会場から拍手がわいた。

 この前日、島原市内のホテルで開かれたJA島原雲仙の島原地区営農センター慰労会。自民党の加藤寛治県議は「地元からの県知事をぜひ実現したい」と支援を呼び掛け、中村氏は名刺を配り握手して回った。

 中村氏は南島原市有家町の出身。1月1日にも同市内で開かれた県立島原高の還暦同窓会に出席するなど、陣営は島原半島を重点地域の一つと定めた戦略を描く。選対関係者は「まずは地元を固めたい。立候補表明が遅れ組織態勢はこれからだが『地元がやる気になっている』と長崎や佐世保に伝われば勢いが出る」と狙いを明かす。

 3日午後4時すぎ。初詣で客でにぎわう橘神社(雲仙市)の参道を身長差が30センチほどもある男女2人が歩き注目を集めた。前農水省改革推進室長の橋本剛氏(40)と民主党の福田衣里子衆院議員(長崎2区)。参拝客から記念撮影を求められた福田議員は橋本氏を招き寄せ、一緒に写真に納まった。

 この日2人は諫早市や雲仙市の神社5カ所を“はしご”した。全国区の知名度を誇る福田議員と行動を共にさせ、橋本氏の顔と名前を一気に売り込む戦略だ。後援会関係者は「とにかく顔を売る必要がある」と知名度向上に躍起だ。

 さらに後援会の拡充にも力を入れる。12月30日午後2時から長崎市内で開いた県立長崎北高の同級生らの同窓会。橋本氏は「私のことを知り、伝えてくれる人がいるのは心強い」と声を弾ませた。この日夜には祖父が店を開いていた同市中心部の公民館3カ所を訪ね、夜警中の住民を激励して回った。

 「あの人、大仁田さんじゃない」。1日午前1時すぎ。長崎市坂本2丁目の山王神社。黒のジャンパーにジーンズ、黒のニット帽という目立たない服装で現れた元参院議員の大仁田厚氏(52)だったが参拝客はすぐに気付き、次々に握手や記念撮影を求めた。

 当初人出の多い諏訪神社に行く計画だった大仁田氏だが「新年から派手なパフォーマンスをすれば悪い印象を与える」との判断で急きょ参拝場所を変更。陣営は当面、県北や離島といった各地の後援会づくりに重点を置く。選対関係者は「知名度では勝っており、パフォーマンスは告示後でも遅くない」と話す。

 「女性が頑張らないといけませんね」。12月29日午後2時すぎ。雲仙市愛野町の病院で県議の押渕礼子氏(71)からパンフレットを受け取った女性看護師はこう応じた。長崎市選出の県議で「全県的な知名度が低い」(押渕氏)ため、長崎大医学部の同窓生の病院を回ったり街頭宣伝車で各地を回り「女性の力で長崎を変える」などと訴えている。

 前ルーマニア大使の東良信氏(61)は年末年始を家族のいる東京で過ごし、有名人を応援弁士に呼ぶ街頭演説の計画を練った。2日午後には支援者が初売りでにぎわう佐世保市中心部のアーケードでチラシを配った。

 「6、7人の動きが報道されているが、金子県政が進めた大型開発をきっぱり中止できるか問われる」。12月31日午前11時すぎ。長崎市大浜町で街頭演説した前共産党県委員会委員長の深町孝郎氏(67)はこう述べ自らの独自性を強調した。陣営は知名度向上のため街頭演説を増やす。選対幹部は「金子県政をチェンジできるのは深町氏しかいないと訴える」としている。

大仁田 厚 52 元参院議員        無所属新
押渕 礼子 71 県議           無所属新
中村 法道 59 前副知事         無所属新
橋本  剛 40 前農水省改革推進室長   無所属新=民主推薦=
東  良信 61 前ルーマニア大使     無所属新
深町 孝郎 67 前共産党県委員会委員長  無所属新=共産推薦=
(五十音順、敬称略)
2010年1月4日長崎新聞掲載