「西海讃歌」を世界へ 米カーネギーホール演奏構想

2019/01/14 [16:00] 公開

 青雲高(西彼時津町)出身で現在、米ニューヨークを拠点に活動しているプロ指揮者の伊藤玲阿奈(れおな)さん(39)が、佐世保・九十九島の自然をイメージした管弦楽付き合唱曲「西海讃歌(さんか)」を、ニューヨークにある音楽の殿堂カーネギーホールで2020年に演奏することを構想している。
 西海讃歌は作曲家の故團伊玖磨さんが、平戸市出身の詩人、故藤浦洸さんの詩に曲を付け、1969年に初演された。本県では以前、テレビの天気予報のBGMにも使われていた。
 伊藤さんは幼少時から西海讃歌が「大好き」で、2009年に合唱抜きの状態ではあるもののニューヨークで演奏。聴衆からは「冒頭から日本の雄大な海のイメージが思い浮かぶ」との感想が寄せられたという。
 伊藤さんは「日本的な音づかいなのにクラシック曲として聞ける」と魅力を語り、「この空を この海を この土を 愛そう」といった歌詞も「普遍的」と指摘。「米欧でも十分評価される芸術作品で、日本の文化遺産だと思う。全世界へ紹介したい」と話している。
 九十九島を含む西海国立公園の指定65周年となる20年に、カーネギーホールで合唱入り「完全版」の米国初演を構想している。今後、数千万円を見込む開催経費の調達を模索、一緒に演奏する曲も選ぶ。オーケストラや約150人の合唱団は極力本県で確保したい考え。昨年11~12月に講演や指導のため一時帰国した際は、佐世保市や長崎OMURA室内合奏団などの関係者にあいさつ回りをした。
 伊藤さんは福岡県田川市出身で筑豊青少年交響楽団の設立者を祖父に持つ。青雲高、米ジョージ・ワシントン大国際関係学部を卒業後、指揮の道へ進み、08年にニューヨークでプロデビュー。14年には全米の音楽家を対象とした「アメリカ賞」のプロオーケストラ指揮部門で3位に入賞した。
 問い合わせは伊藤さん(メールアドレスriccs.info@gmail.com)。

米カーネギーホールで「西海讃歌」の演奏を構想している伊藤さん(本人提供)