長崎県地方議員アンケート 若者流出に危機感

2019/01/01 [00:00] 公開

 今春の統一地方選を前に、長崎新聞社は県内全地方議会(県議会、13市議会、8町議会)の全現職議員を対象に、議員活動に関する意識、本県の重要課題、憲法改正への考えなどについてアンケートした。議員として最も力を入れて取り組みたい施策を尋ねた質問では、「産業振興・雇用創出」が31%と突出。若者の県外流出、人口減などを背景に、雇用の受け皿となる既存産業の拡充や新産業創生の必要性、現状への危機感をうかがわせた。安倍晋三首相が意欲的な憲法9条改正については、「賛成」「どちらかといえば賛成」が計55%。「反対」「どちらかといえば反対」の計34%を上回った。本県地方議員に自民議員が多いことも影響したとみられる。
 全現職議員435人(当時)に昨年10月末からアンケート用紙(回答は選択肢と自由記述)を配布し、同12月中旬までに回収。403人(県議45、市議272、町議86)から回答(回収率92・6%)を得た。
 最も力を入れたい施策については、八つの選択肢から一つを選んでもらった。「産業振興・雇用創出」と回答した議員は、県議会ほか島原や平戸、西海、新上五島など離島・半島を中心に13市町議会で最多。補足として、それが「安定して生活できる条件」との意見や若者流出対策として重要だとの指摘、「海の資源を最大限活用すべきだ。養殖産業の復活を」といった提言もあった。
 2番目に多かったのが「少子化対策・子育て支援」の17%で諫早、長与など都市部で多い傾向が見られた。次いで「安全・安心なまちづくり」の11%。「その他」を選んだ議員からは自由記述で、外国人に労働を頼る前に障害者雇用の工夫を求める意見なども寄せられた。
 本県の重要課題や大型事業を巡る考えも尋ねた。人口減少対策の有効策は「ある」が40%。具体策の自由記述では「企業の本社機能の地方分散」「ハコモノにお金をかけず福祉、教育、子育てを充実」「最低賃金引き上げ」などが出た。一方で、有効策が「ない」も21%を数え、現状への厳しい見方、手詰まり感も浮き彫りになった。
 新鳥栖-武雄温泉の整備方式が未定の九州新幹線長崎ルートに関しては、県が目指す全線フル規格化を「推進すべきだ」が66%を占めた。半面、「ミニ新幹線方式を目指すべきだ」(3%)、「(在来線特急と新幹線を乗り継ぐ)リレー方式で良い」(2%)はいずれも低かった。ただ、整備財源として莫大(ばくだい)な公金が支出されることへの疑問などから「新幹線整備そのものを見直す」も17%を数えた。
 カジノを含む統合型リゾート施設(IR)をハウステンボス(佐世保市)に誘致すべきだと「思う」「どちらかといえば思う」は計55%と過半数で、「思わない」「どちらかといえば思わない」の計31%を上回った。
 アンケートでは、このほか議員のなり手不足や議員報酬を巡る意識、中村県政への評価なども尋ねた。