「多様な人材 出てほしい」横山弘藏議長 小値賀町議会の行方・4

2023/02/10 [11:20] 公開

町議選を通じて多様な人材が出てきてほしいと話す横山議長=小値賀町議会

 議員のなり手不足解消に向け、さまざまな改革や情報発信を続けてきた北松小値賀町議会。横山弘藏議長(71)に思いを聞いた。

 -なり手不足の原因は。
 やはり人口減少が大きい。小値賀町は高齢化率が50%を超えた超超高齢化社会。漁業などの後継者不足は深刻で、議会も事情は同じ。かつては二次離島からも町議選に出る人がいたが、今はない。
 平穏すぎるのも要因かもしれない。佐世保市や宇久町との合併構想が持ち上がった時は、議会と町民、行政がまるで関ケ原の戦いのように真っ二つに分かれて激しく議論したが、今は大きな争点がない。

 -議会が何をしているか見えないという声もある。
 町民に関心を持ってもらおうと(議員と意見を交わす)出前議会を重ね、(なり手不足を考える)シンポジウムも開いた。ただ、小さい地区なら十数人来ても、大きな地区は3人くらいということもある。平穏ゆえに「議員に任せとけばいい」みたいな空気を感じる。それぞれ自分の生活に精いっぱいで、議会に関心を寄せる余裕がないのかもしれない。

 -議員自ら町議選立候補者を募る「議会だより特別号」は、求人誌と見間違えるようなインパクトがあった。
 二元代表制の意義や議会の存在価値をちゃんと町民に理解してほしくて企画した。刺激的な内容だったが、「地方議会は困っている」と正直に訴えた。国会議員にも読んでほしい。
 議会の議決で町政の全てが動く。もし議会が成り立たなくなれば、福祉の予算執行などが滞り、町民も困ることになる。これまで合併せずに自立して頑張ってきた意味がなくなってしまう。

 -反響は。
 定数割れの危機が新聞で報道され、島外から住民票を移して選挙に臨みたいという人も出てきた。これまでの小値賀にはなかった動きだ。島内からも特別号を見て「そういうことなら私が出る」と何人か声を上げてくれている。町民が議会の窮状を理解し始めたと(自分は)感じている。

 -どんな議会を目指しているのか。
 多様な人材が(選挙を通じて)出てきてほしい。特に(男性議員しかいない現状を踏まえ)視点が違う女性にぜひ立候補してほしい。それも複数いた方がよりいい。今は少子高齢化対策が一番大事。若者や女性が議員になり、町民の声をくまなく拾い上げられるようになれば。私たちの務めとして、報酬の引き上げや手当拡充など立候補しやすい環境を整えていきたい。