「ナガサキ不戦の集い」 被爆者ら、防衛費増額方針に危機感 

2022/12/09 [11:30] 公開

核廃絶人類不戦の碑に火をともしたキャンドルをささげ、手を合わせる被爆者ら=長崎市平野町

 太平洋戦争開戦から81年となった8日、長崎市平野町の核廃絶人類不戦の碑の前で、「ナガサキ不戦の集い」があった。参加した被爆者らは長期化するロシアのウクライナ侵攻や、日本政府の防衛費増額の動きなどに危機感を示し、非核と不戦をあらためて訴えた。
 長崎原爆被災者協議会(長崎被災協)の田中重光会長(82)は「ロシアの侵略は、戦火で尊い命が奪われ、悲劇を招くことをあらためて浮き彫りにした」と強調。岸田文雄首相が防衛費や関連予算を国内総生産(GDP)比2%まで大幅に増やす方針を示していることを批判し「軍拡をする政府はいらない。長崎は平和の尊さを発信する重要な役割を担っている」と呼びかけた。
 太平洋戦争開戦の年に生まれた被爆者、溝浦勝さん(81)=同市=は「二度と戦争をしないとの誓いを今こそ掲げたい。核兵器をなくす(運動の)先頭に私たち被爆者や、日本政府が立つ必要がある」と訴えた。
 参加者約20人は全ての戦争犠牲者を悼んで黙とうし、キャンドルに火をともして碑前にささげた。最後に、核兵器廃絶を求める署名活動に毎週取り組む活水高平和学習部の1年生4人が「核兵器が存在する危険な状態に向き合い、今何ができるか考え実行し続ける」と、不戦の誓いを読み上げた。
 集いは、被爆証言を記録する市民団体「長崎の証言の会」などが、旧日本軍による真珠湾攻撃で開戦した12月8日と、終戦記念日の8月15日に開き81回目。