石炭輸送船「松風丸」命名引き渡し 世界初の硬翼帆搭載 商船三井と大島造船所

2022/10/08 [11:00] 公開

オーストラリアに向け初出航する、ウインドチャレンジャーを搭載した石炭輸送船=西海市大島町、大島造船所

 商船三井と長崎県西海市の大島造船所が共同開発した「ウインドチャレンジャー(硬翼帆)」搭載の石炭輸送船の命名引き渡し式が7日、同造船所であり「松風(しょうふう)丸」と命名された。風力を推進力に生かすことで温室効果ガスの排出抑制につなげる。船主で運航を手がける商船三井によると、大型商船への繊維強化プラスチック(FRP)製の大型帆の実装は世界初。式典後、オーストラリアへ出航した。
 同船は全長235メートル、幅43メートル、載貨重量10万422トン。燃料は重油。東北電力の専用船として主にオーストラリアやインドネシア、北米などから石炭を運ぶ。
 船首付近の甲板に設置された硬翼帆は高さ53~23メートルの範囲で伸縮。幅は約15メートル。FRPを使うことで強度と軽さを両立した。風向と風力をセンサーで検知し、帆の向きや高さを自動制御。最適な航路を選択するソフトも備えた。燃費節減効果は同型船と比べ、日本-北米航路で年間8%以上、オーストラリア航路で同5%以上。
 商船三井の橋本剛社長は「グループの総力を挙げ脱炭素社会実現に貢献していきたい」。大島造船所の平賀英一社長も温室効果ガスの排出削減へ向け「プロジェクトを積極的に推進し、技術力を深める」と話した。
 式典には40人が出席。東北電力の樋口康二郎社長が船名を読み上げ、妻の郁子さんが支綱を切断した。
 商船三井と大島造船所は今夏、搭載船2隻目の建造契約を締結。小型タイプの硬翼帆を導入する。