厚生労働省は22日、国の指定地域外で原爆に遭った「被爆体験者」への医療費助成で新たに対象に加える「がんの一部」について、被爆体験による心的外傷後ストレス障害(PTSD)に起因する疾病を検討する方針を明らかにした。体験者側は「PTSDと言わず、被爆者と認めて根本的に解決すべき」と批判した。
第2次全国被爆体験者協議会など関係3団体の代表や支援者らが被爆者認定による根本解決を求めて都内で実施した要望活動を受け、厚労省側が説明した。
同省は今後、専門家の意見を聞きながらPTSDに起因する「がんの一部」を具体的に検討。追加する疾病と必要な予算額を年内に固め、来年4月の支給開始を目指す。2023年度政府予算の概算要求で、必要経費として約4億円を増額計上している。
被爆体験者の医療費助成は元々PTSDなどがある人が対象。体験者側は「PTSD起因では、がんの認定は難しいのでは」「『黒い雨』訴訟で救済の道が開かれた広島と同様、被爆者と認めれば難しい議論はいらない。なぜ長崎を差別するのか」と反発した。
関係3団体は、ほかに多・長被爆体験者協議会(山内武会長)と被爆体験者訴訟を支援する会(川野浩一代表)。
医療費助成「がんの一部」 PTSD起因追加へ 厚労省 被爆体験者「根本解決を」
2022/09/23 [11:10] 公開