竹林整備が触れ合いの場に 長崎の森林ボランティア 30~40代が技術、伝統学ぶ

2022/04/07 [12:30] 公開

収穫したタケノコを手に笑顔を見せる参加者(撮影のためにマスクを外しています)

 長崎市芒塚町で手付かずとなった竹林を整備し、適正に維持し続けるため、同市の森林ボランティア団体「TAKE NO EN」(内藤恵梨代表、58人)が活動している。中心は町内外の30~40代の若い世代。高齢化で地域の担い手不足が課題となる中、人手を確保し、参加者も技術や伝統を学ぶ。新型コロナウイルス禍の中、自然や人との触れ合いの場にもなっている。

 「子どもが昨年生まれ(コロナ禍で)家にいることが多かった。竹林に癒やされ、いろいろな人と話すのも楽しい」。初参加という西彼時津町の看護師、永野かおりさん(39)が笑顔を見せた。3日午前、ヘルメット姿の男女約20人が竹の伐採やタケノコ掘りに汗を流した。安全確保のため適度に距離を保ちつつ、密集した箇所の竹を切り倒すと明るい光が差し込んだ。
 同団体が活動を始めたのは昨年1月。所有者の家族が内藤さん(34)に「竹林が荒れていて誰か手伝ってくれる人はいないか」と相談したのがきっかけだった。所有者の田森昭紀さん(80)が約10年前に病気を患い、管理が難しくなっていた。1.3ヘクタールの竹林は葉が生い茂って日が差さず、立ち枯れた竹が倒れるなど、荒廃が進んだ。

竹の伐採作業に汗を流す参加者=長崎市芒塚町

 芒塚町で「太陽と月の酵素カフェ」を経営する内藤さんは常連客らを誘い、同団体を発足。昨年3月には県森林ボランティア支援センターに登録し、同センターの指導や国の交付金を受け整備を始めた。
 隔週で休日に活動。竹の器を使った食事や竹灯籠のイベントも企画し、家族連れなど幅広い世代が楽しめるよう工夫を凝らす。発足時から活動する佐賀県武雄市の会社員、牧野伸也さん(37)は「楽しみながら社会貢献できるのが魅力。竹林の問題にも関心を持つようになった」と語る。
 国の交付金が活用できるのは原則、登録から3年間。資機材の費用などを確保し、持続可能な仕組みづくりが重要となる。そこで内藤さんは収穫したタケノコをメンマや水煮に加工し販売する計画を進めている。
 「伝統や技術が途絶えれば、竹林も適正に維持できない。守るにはお金もマンパワーも必要。ご縁も生かしながら、持続可能な活動にしたい」。内藤さんは熱い思いを胸に、にこやかに語った。