「豆モヤシ」の栄養素増やす栽培法 長崎国際大チームが開発 抗がん作用など期待

2022/02/03 [12:15] 公開

豆モヤシの栄養素を増やす栽培法を開発した田中准教授(左から2人目)の研究チームと、久野代表(同3人目)=佐世保市、長崎国際大

 長崎国際大薬学部の田中宏光准教授(分子生物学)の研究チームが、抗がん作用などが期待される栄養素「クメストロール」の含有量を大幅に増やした豆モヤシの栽培法を開発した。研究の実用化を図るため、大学関係者が佐世保市にベンチャー企業を設立し、栄養素をカプセルに詰めた健康食品の販売を始めている。
 田中准教授によると、クメストロールはポリフェノールの一種で、野菜などに含まれる。欧州や中国の研究論文で、がんやアルツハイマー病、肥満の抑制に効果があると報告されているという。
 研究チームはクメストロールの含有量が多い豆モヤシに着目。栽培期間を延ばすことでクメストロールが増加する特性などを発見し、含有量を通常の20倍以上にできたという。昨年11月に研究成果をまとめた論文を発表。栽培方法を特許として申請した。
 同9月には大学関係者が田中准教授と連携し、ベンチャー企業「佐世保食品科学工房」(久野妙子代表)を設立。クメストロールを高めた佐世保産の豆モヤシ3キロを乾燥させて粉末にし、カプセル400個程度に詰めた健康食品「クメフル」(148グラム、4千円)として販売を始めた。同市のふるさと納税の返礼品にもなっている。

豆モヤシを加工した健康食品「クメフル」(田中宏光准教授提供)

 田中准教授は「高齢化でがんや認知症への関心は高い。今回の成果を次の研究に生かし、多くの人の健康を支えたい」。久野代表は「地元大学との連携で地域経済の発展に貢献したい。商品が佐世保の“特産品”になればうれしい」と話している。問い合わせは、同社(電090.5352.2962)