「はばたく企業」に長崎県内5社 中小企業庁300社選定 生産性向上、需要獲得評価

2022/01/07 [09:33] 公開

「はばたく中小企業・小規模事業者300社」に選定された長崎県の5社

 中小企業庁は生産性向上や需要獲得などの分野で秀でた本年度の「はばたく中小企業・小規模事業者300社」を選定した。長崎県から不動技研工業(長崎市)、庭建(佐世保市)、菓秀苑森長(諫早市)、シュシュ(大村市)、森酒造場(平戸市)の5社が入った。
 「生産性向上」分野の不動技研工業は、大手企業のパートナーとして大型発電設備の設計や制御機能検証の技術を生かした自動車の電子電装部品の評価分野で発展。販売管理システムの自社開発による業務効率化なども評価された。田中三郎社長は「57年の歴史の中で地道に社員とともに要求以上のものを提供し続け、雇用拡大などの地域貢献につながった」と話した。
 このほかの4社は「需要獲得」分野で選定された。
 庭建は、公共工事や一般造園工事などの大小1万件以上を施工。佐世保市名切地区の中央公園リニューアル事業では、公園の設計、施工、管理運営をPFI(民間資金活用による社会資本整備)方式で担った。田雑豪裕社長は「これからも地域活性化に貢献する地方創生事業に参画し、付加価値の高い多角化を率先して推進することで企業の成長につなげたい」と述べた。
 創業229年の菓秀苑森長は、蒸した乾米(ほしい)に砂糖と水あめを加えて加熱して作る「諫早おこし」の老舗として知られる。長崎名物のカステラも製造、販売。しっとりとした生地の「半熟生カステラ」などの新商品もヒットし、東南アジアなど海外にも輸出している。森淳社長は「常に謙虚に、お客さまにおいしい商品と真心を届け続けたい」と話した。
 「食のテーマパーク」として人気のシュシュは1997年の創業以来、農産物を加工し、直売所とレストランで提供する6次産業を展開。食育や規格外品の加工など、地域資源と農業を結び付けた事業でも知られる。山口成美社長は「農業を産業にすることで、雇用創出など農業のイメージを大きく変え、農業を目指す人に夢と希望を持ってほしい」と述べた。
 1895年創業の森酒造場(森幸雄社長)は、世界文化遺産「長崎と天草地方の潜伏キリシタン関連遺産」の構成資産、平戸市春日地区の棚田で育てた米を使い、地酒をブランド化。インバウンド需要に対応した事業転換で海外のファンも獲得。おかみの森公子さんは「5代目杜氏(とうじ)を中心に、地元の水と米で酒を造り、世界との取引も伸びている」と話した。
 中小企業庁によると、現在の名称で表彰が始まった2016年度以降、県内企業の選定は今回を含めて計19社。