森友文書「真実明らかに」 赤木さんの妻が全国行脚「世論の力が大事」

2021/11/23 [11:50] 公開

赤木俊夫さんの写真を手に「再調査をして真実を明らかにしてほしい」と語る妻雅子さん=長崎新聞社

 森友学園に関する財務省の決裁文書改ざんで2018年3月に自殺した近畿財務局の元職員赤木俊夫さん=当時(54)=の妻雅子さん(50)が22日、長崎市茂里町の長崎新聞社を訪れ「再調査をして真実を明らかにしてほしい。そのためには世論の力が大事。多くの人に知ってもらいたい」と理解を求めた。
 森友学園の問題を巡っては17年2月に安倍晋三首相(当時)が国有地売却について、昭恵夫人も含め関与を全面否定したことなどをきっかけに交渉記録が廃棄され、文書が改ざんされた。財務省は18年6月、改ざんは当時理財局長だった佐川宣寿氏が主導したなどとする調査報告書をまとめたが「夫が改ざんを苦に亡くなったことは書かれていなかった」(雅子さん)。
 俊夫さんは生前残した手記に改ざんを強いられたことへの憤りと後悔を記していた。雅子さんが人事院から19年に情報開示を受けた公務災害認定の記録は大部分が黒塗り。今月ようやく開示された記録でも改ざんの指示と自殺を結び付ける記述はなかった。雅子さんは「2年間も何を隠す必要があったのか。改ざんに一切触れていない」と悔しさを募らせる。
 俊夫さんが改ざんの過程をまとめた「赤木ファイル」の存在を国がようやく認めたのは今年5月。歴代首相は雅子さんが求める第三者による再調査に応じる気配はない。
 雅子さんは昨年3月、佐川氏の指示で改ざんを強制され自殺に追い込まれたとして国と佐川氏を相手取り提訴。財務省の調査報告書の関連文書開示を求める別の訴訟も起こした。「応援してくれる人がいてくれることが力になり勇気になっている」と感謝する。第三者による再調査を求める電子署名は39万筆を超えた。
 国家権力と対峙(たいじ)することに「苦しむ夫を助けることができなかったと後悔している。今でも助けたい。相手が国であっても闘い続ける」と思いを口にする。
 今年5月から地方紙を訪問する「全国行脚」を始め本県は12都道県目。応対した石田謙二編集局長は「私たちも、忘れられないように紙面で読者に伝えていく」と語った。