「学びの機会」どう保障 コロナ感染拡大の中始まる新学期 長崎県内の対応

2021/08/27 [10:01] 公開

2学期最初の登校日、検温を受ける児童=大村市立大村小

 新型コロナウイルスが猛威をふるう中、長崎県内の多くの学校が9月1日に新学期を迎える。全国的に子どもの感染事例が増えているだけに、現場は「学びの機会」を保証するため、検温の徹底や授業のオンライン化などさまざまな策を講じている。

■ 最大限警戒

 大村市内の小中学校は26日、2学期がスタート。給食は27日から始めるが、感染急拡大を受け、8月中は午前までの授業とする。
 同市玖島1丁目の市立大村小では、児童が自宅での検温結果を記入したカードを持参して登校。靴箱前で教師が出迎え、忘れた子の体温を測った。
 始業式はリモート形式。中嶋邦治校長は画面越しに「(感染状況が)『災害級』と言われる中、一人一人が自分にできる予防策を考えることが大事。力を合わせて乗り切ろう」と呼び掛けた。6年の山下健太君(12)は「コロナ対策は面倒なところがあるけど、しっかり気を付けていきたい」と話した。
 同市教委によると、市内小中学校教職員はワクチンの先行接種を受け、74%が2回目まで済ませた。
 県教委は18日、平田修三教育長の緊急メッセージを県立学校に出した。夏休み明けの2週間を特に注意し、校内や家庭内での感染拡大に「最大限の警戒」を払うよう求めた。
 長崎市立山5丁目の県立長崎東高は20日から授業を再開。9月3日までを「感染拡大防止徹底期間」とし、玄関周辺に啓発ポスターを張り出した。これまでもマスク着用や換気の徹底、昼食時の「黙食」などに取り組んでおり「新たな対策を取るのは難しいが、生徒に気を引き締め直してもらう」。

■ オンライン

 授業にオンラインを導入する動きもある。同市文教町の長崎大付属小・中は9月1~6日、登校を取りやめ、1人ずつ配備したノートパソコンで学校と自宅などをつなぎ授業を行う。同大教育学部の藤本登学部長は「家庭向けの一斉実施は初めてだが、昨年10月以降、授業でパソコンを積極活用しており、問題ないと考えている」と話す。
 一方、長崎、佐世保両市内の市立小、中学校は予定通り9月1日から2学期を始める。佐世保市教委は、同市が27日から、まん延防止等重点措置区域になるのを踏まえ、分散・時差登校も検討したが見送った。担当者は「まずはこれまでの感染対策を徹底してもらう。安全・安心も重視しながら学びの機会を提供していきたい」と話す。

■ 離島留学生

 島外から進学した72人の「離島留学生」が通う対馬市厳原町の県立対馬高。帰省を終えて戻った生徒には抗原定量検査を受けさせ、学校寮では検査結果が出そろうまで食堂での食事を禁じ、各部屋で「個食」とした。植松信行校長は「離島の医療体制を考えれば、感染拡大は避けなければならない」と話した。